熊本市は、新庁舎整備事業の概算事業費が最大1230億円に達するとの試算を市議会特別委員会に報告した。市は有識者らによる検証委員会を7月に設置し、事業の妥当性を精査する。財政負担の増加を懸念する声に大西一史市長は「現在の事業費をそのまま受け入れる考えはない。厳しく検証する」とした上で、「現庁舎の防災上のリスクを先送りできない」と述べ、計画を進める意義を強調した。
特別委員会では、「事業費の妥当性」「新庁舎の必要性」「今後の進め方」の三つの論点に質問が集中した。最大の争点となった事業費は、基本構想段階の約616億円から約2倍に膨らんだ。工期は、昨今の建設業の実情を踏まえ、従来の4年から6年程度に長期化する見込みだ。市は、合併推進債などの利用で実質的な財政負担を437億―528億円に圧縮できると説明。現庁舎を大規模改修した場合の実質負担(約530億円)と同水準であり、建て替えの優位性を主張した。
新庁舎の必要性について、現庁舎は震度6弱の地震で機能停止の恐れがあり、水害リスクも抱えていることから、発災直後の行政機能の維持は最優先事項と説明した。さらに、現庁舎跡地の活用を含む中心市街地の再開発誘発や、都市の拠点性向上など、まちづくり戦略の意義を説いた。
今後は、既存の基本計画検討分科会での床面積削減の議論と連動し、検証委員会で工事費や工期の妥当性を客観的に評価する。現庁舎の解体工事については、周辺地盤や地下水保全への影響を考慮し、地下連続壁などの存置・撤去を含めた3パターン(解体費約45億―210億円)から工法を検討する。2026年度末の基本計画策定を目指しており、コスト縮減と機能確保のバランスが焦点となる。
建設通信新聞 電子版2カ月無料キャンペーンはこちら
