国土交通省は、「本州・九州間の道路ネットワークの整備・運用に関する基本方針」をまとめた。関門海峡を横断する下関北九州道路の早期実現に向けた整備・運用の方向性を整理した。利用者負担を基本としつつ、公共施設等運営事業(コンセッション)を含む官民連携手法の導入可能性を検討するほか、既存道路との一体的な交通マネジメント体制の構築、大規模吊橋の技術継承・人材育成などを盛り込んだ。8日に開いた社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会の本州・九州連携小委員会(委員長・羽藤英二東大大学院教授)の最終会合に提示した。
基本方針案では、整備費用について高いサービス水準による受益を踏まえ利用者負担を基本とし、不足分は税金による負担や一定の地元負担も検討するとした。コスト縮減や効率的な維持管理に向け、PPP/PFIの導入を視野に入れる。民間事業者の意向を踏まえ、事業リスクとなる地盤・断層・風況などの詳細調査に早急に着手し、官民のリスク分担を精査する方針を明記した。また、事業全体は国が主体的にけん引し、関係自治体と緊密な連携体制を早期に構築する。
運用面では、下関北九州道路を有料道路として運用し、関門トンネルや関門橋と連携した一体的交通マネジメント体制を構築する。交通需要に応じた機動的な料金設定や北九州高速の料金体系・車種区分の見直し検討を掲げた。中国縦貫道や山陰道などとのシームレスな接続強化についても盛り込んだ。
設計・施工・管理では、100年以上の耐用年数を目指す。高性能鋼板(SBHS)や新防食工法によるライフサイクルコストの縮減、BIM/CIM、ローカル5Gなどのデジタル技術の活用、ECI(施工予定技術者事前協議)や設計・施工一括(DB)方式の導入を検討する。
また、ダブル連結トラックなど重量物輸送ニーズを見据えた設計荷重・線形の検討、電力・通信・水道などインフラの併設可能性も探る。国内で約20年ぶりとなる大規模吊橋の建設機会を捉え、技術が国内から失われる安全保障上のリスクを回避するため、技術継承と若手技術者育成を国家的課題と位置づけ官民一体で取り組むとした。
総括した羽藤委員長は「関門海峡の寸断による年間約14兆円の経済損失を踏まえ、第3のルートの必要性が強く共有された」と振り返り、民間資金の活用に向けた国による詳細調査の早期着手と、国が主体的にリーダーシップを発揮する重要性を指摘。「今回の検討プロセスが全国の新規プロジェクトのモデルになることを期待したい」と述べた。

