日本建設業連合会の蓮輪賢治副会長と中原淳事務総長は5日、建設分野の人材確保を議題とする自民党日本成長戦略本部(岸田文雄本部長)の会議に出席し、半導体工場やデータセンター(DC)などの建設で、供給力不足が課題となっている設備工事業の現状を説明した。供給力確保には、発注者を含めた全てのサプライチェーン関係者が連携した取り組みや、制度面・政策面での国の支援の必要性を強調し、国費が投入される施設建築におけるBIM利用の原則化などを提案した。
日建連の説明によると、半導体工場やDCは一般的に3、4割程度とされる建築費全体に占める設備工事費の割合が6割程度と高い。一方、使用する設備機器は特注品が多く、対応できるサブコンが限られていることから、設備工事の需給がタイトになり、調達・建設コストの上昇も顕著になっている。
その上で、将来の建設需要減少への不安や地方の設備人材不足、電気工事分野での外国人材受け入れの遅れなどを設備工事業を取り巻く課題として列挙。後工程の設備工事は、着工後に設計変更が生じると、工程の遅延や手戻りなどの大きな影響を受けるというクリティカルなポイントも説明した。
日建連は対応の方向性として、発注者・設計者・施工者の連携による設計段階から一貫したBIM利用の定着や、部材の規格化・標準化・プレハブ化・オフサイト化を基本とした設計施工の推進などを提示。特に、多額の国の補助金が投入される施設については、円滑な施工を実現する生産性向上の観点から、BIM利用などの原則化を提案した。着工後の設計変更を許容する期限の設定や、技能労働者の派遣禁止制度の緩和も働き掛けた。
このほか、国による半導体工場やDCなどの建設需要の将来見通しの明示、建設業法に基づく標準労務費のベースとなる設計労務単価の大幅な引き上げの継続、発注者を含めた関係者の適正な負担による業界横断的な教育訓練の仕組み構築、電気工事分野における外国人材の受け入れ環境の整備と戦略的獲得の加速なども訴えた。
会議の場で蓮輪副会長は、政府が進める成長投資を下支えできるよう全力を尽くすことなどを表明した。DCや半導体の事業者団体からは、需要は増加傾向にあり、今後も続くだろうなどとする見通しが示された一方、建設コストの上昇や工期の長期化が国際競争の面でも課題になっているといった意見が出た。コストアップにもつながる着工後の設計変更による手戻りを、発注者側も課題認識しているとした上で、日建連などの建設業団体と協議する場を持ちたいとの意向も示されたという。
政府も10月末から、戦略17分野の投資促進に向けた建設分野の人材確保策の議論を本格的に開始している。AI(人工知能)の普及で需要が高まる半導体工場やDCの建設で逼迫(ひっぱく)する設備工事業の供給力確保を中心に、年内に政策パッケージをまとめる予定だ。
