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私と東日本大震災の15年

寄稿・神庭正裕(安藤ハザマ東北支店土木部浪江拠点出張所所長)

最終更新 | 2026/04/10 09:09

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神庭正裕にぎわい戻り意義を実感

農地除染

 2011年の震災当時、私は千葉県の大型工場の解体工事に従事していました。関東でも震度5以上の揺れが生じ、解体中の建物が崩壊していないか、作業員は無事かなど、まだ揺れが収まらない中、現場を駆け回ったことを記憶しています。翌年には本社勤務となり、関東地区の土木工事を管理しながら東北地方の津波被害や放射能汚染の状況をニュースで見る程度でした。
 13年、当社も本格的に除染業務に参入することとなり、私は福島県いわき市久之浜地区の除染現場に異動となりました。国道6号線は許可なく通行できず、打ち上げられた漁船が放置され、基礎だけ残った住居、寸断された道路、めちゃくちゃに壊れた車など、想像を絶する光景を目の当たりにし、地震の脅威と被害の大きさを改めて実感しました。
 久之浜地区は比較的線量が低かったため、住民の皆さんが生活されており、工事着手時に震災当時のお話を直接伺うことができました。お話をする中で、被災者の心情を理解することができました。見えない放射線への脅威と不安は私の中にも住民の方々と同様にありましたが、徐々に使命感が湧き、元の安全な生活に戻すため、前例のない工事に取り組む覚悟ができました。
 久之浜地区の除染工事ではものづくりとは異なる除染工事に戸惑いながら現場管理のノウハウを学び、安心に暮らせる地域の再生に貢献できました。
 その後、14年1月に当時避難指示が出されている浪江町の除染現場に乗り込むこととなりました。ここでは、全く人けがなく、田畑は原野と化し、家屋は空き巣被害の痕跡があるなど、さらなる過酷な現実を目の当たりにすることとなりました。17年3月に対象区域の避難指示を解除するためには、作業員4000人の施工体制を構築する必要があり、全国の支店から職員、協力業者を集めました。また、浪江町の復興には地元の企業に参加してもらいたいという思いから、地元業者にも積極的に声をかけ、多数の参加をいただきました。
 帰還困難区域での工事では、作業員宿舎の設置、通勤手段の確保、重機、工事車両、資材の確保など、さまざまな課題や困難な状況がありましたが、多くの方々の協力により解決し、何とか期限までに完了させることができました。
 しかしながら、当時は帰還された住民はまばらで、これだけの大きなプロジェクトをやり遂げた達成感はあまり湧きませんでした。あれから9年、私は、その後も特定復興再生拠点区域、特定帰還居住区域の工事にも関わることで、現在の浪江町の状況を知ることができました。
 営農が再開され、新築アパートが建ち並び、水素工場の稼働、産業団地の新たな工場、福島国際研究教育機構(F-REI)を中心とする駅前の開発が進み、道の駅は大いににぎわっていました。年々盛り上がる野馬追祭りや十日市祭りなど、町民の皆さんが徐々に帰還し、そこに新たに移住してきた人々が加わり、新しい浪江町が着実にスタートしていく姿を実感することで、私たちがこれまで必死に除染・解体工事を進めてきたことの意義を実感することができました。
 私は、現在も29年の完了に向け、特定帰還居住区域の工事に従事しています。今の工事区域が今後どのように変化していくのか、10年、20年後、さらなる発展を遂げる浪江町を再び訪れ、確認したいと思っております。

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