【井の頭公園】太宰治文学館と吉村昭書斎を整備 身近な「文学施設」に | 建設通信新聞Digital

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【井の頭公園】太宰治文学館と吉村昭書斎を整備 身近な「文学施設」に

太宰治(1946年、銀座のBAR「ルパン」にて。林忠彦撮影)

 東京都三鷹市は、同市にゆかりのある2人の作家、太宰治と吉村昭を記念する新たな文学施設を、都立井の頭恩賜公園内に整備する。公園管理者である東京都と協議の上、「市立太宰治文学館」(仮称)と「市立吉村昭書斎」(同)の基本プランを今夏にも策定する。この中で、施設の規模などを固めた上で、2017年度内に基本・実施設計を委託する考えだ。工事は18年第2回(6月)市議会定例会付議案件として発注し、議決後7月の着工を予定。19年4月のオープンを目指す。
 太宰治文学館は太宰の遺族から寄託されている遺品・資料など約80点を展示。規模は約500㎡を想定している。吉村昭書斎は、「高熱隧道」「闇を裂く道」などの作品で知られる吉村の自宅敷地内にある約30㎡の書斎を移築する。両施設は隣り合う形でつくることを想定。多くのファンを持つ太宰と吉村の貴重な遺品・資料などを散逸せず適切に保存するとともに、市民や都民らがこれらに接する場を創出する。公園の魅力向上にもつなげる。
 「太宰治文学館(仮称)及び吉村昭書斎(仮称)基本プラン作成業務」は、綜企画設計(千代田区)が担当し、10日までの納期で進めている。市はこれをもとに、公園全体のゾーニングなどとの整合性を図りながら、施設の規模や配置、動線などについて、都と協議の上、基本プランを策定する。
 太宰は三鷹に長く住み、市内の禅林寺に墓がある。毎年6月19日の「桜桃忌」には、全国から多くの太宰文学愛好者が集まることでも知られている。吉村は、1969年から06年7月に亡くなるまで井の頭公園に隣接する住宅地に妻で作家の津村節子氏と暮らし、多くの作品を生み出した。津村氏は名誉市民でもある。
 井の頭恩賜公園は、5月に開園100年を迎えた。また、18年には太宰没後70年を迎える。こうした中、三鷹市では両家から遺品などを寄贈する意向を受け、展示施設を整備することにした。
 清原慶子市長は「文学ファンはもとより、国内外の子どもから高齢者までが気軽に立ち寄れる文学施設となるように検討し、文化の薫り高い三鷹市の価値を高めるものとなるように取り組んでいく」との姿勢を示している。

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