日本工営は、生成ＡＩ（人工知能）を活用した自律型ＡＩを開発し、社会実装を推進する。情報収集や執筆、評価、修正などの必要なタスクを自ら考え、各作業を複数のＡＩが実行する。文法やスタイルなどを踏まえた高品質な文章作成などが可能だ。人間の介在を極力減らして、建設コンサルタント業務の効率化と高度化につなげる。
　自律型ＡＩは、ＡＩ自身がタスクに応じて必要なＡＩ機能を選定して行動できる。文書を読み書きする際などに、人間が行っている複雑なタスクの実現を目指したもの。
　具体的に社内では「自律的な文書のブラッシュアップ」「既定の手順に従った文章読解」「曖昧な作業指示による文書作成」に対する適用を進めている。
　文書のブラッシュアップでは、文書作成ＡＩと、文書をレビューするＡＩを組み合わせ、相互にコミュニケーションを取りながら文書を練り上げ、より高品質な成果報告書などをまとめる。
　また、曖昧な指示で文書をつくる場合には、指示に基づいた作業内容の細分化、作業内容に基づいた計画立案、情報収集、目標設定、文書作成を担うそれぞれのＡＩが連携する。
　共通仕様に基づく特記仕様の読解といった、資料の読解手順が決められている場合には、手順に従った調査と回答をＡＩが自律的に行う。
　これまで社内では、建設コンサルタント特化型のチャット型アプリケーションを活用していた。
　ただ、与えられた指示に対してのみ動作する特化型ＡＩであるため、文書作成自体はできるものの、人間が実際の文書作成で行うような複数タスクの関連付けや作業の組み合わせに対しては性能が不十分だった。
　自律型ＡＩは、分野を問わず多様なタスクに応用、活用でき、従来の作業を大幅に効率化できるという。今後、文書作成などの事例を応用し、市場調査やソーシャルリスニングを目的にした自律型ＡＩのプロトタイプを構築していく。