LINEで被災状況共有/全国の道路管理者と試行/国交省 | 建設通信新聞Digital

7月11日 金曜日

行政

LINEで被災状況共有/全国の道路管理者と試行/国交省

LINE上で災害内容を選択し送信する
送信情報はデジタル地図に 自動表示される     
【啓開立案を迅速化】
 国土交通省は6月30日から、全国の道路管理者(国、都道府県、政令市)間でLINEを活用して災害の被災状況を報告・共有するシステムを試験運用している。操作が容易で即座に連絡できるLINEの利点を生かし、災害発生初期の被災地の情報を早期に数多く収集し、速やかな道路啓開計画や復旧計画の立案に役立てる。被災直後に活動する道路維持業者や災害協力会社など建設関係者にも協力を求めるほか、本格運用後は電力会社や通信会社、自衛隊、警察、消防機関などの参画も視野に入れている。 道路管理者が発災直後の被災状況を把握する流れとして、地方整備局や都道府県、市町村の出先事務所が道路維持業者などから報告された現地情報をまとめ、メールで対策本部に報告するのが一般的となっている。ただ、この方法だと被災地全体の状況が判明するのに時間がかかることがネックとなっていた。そのため、国交省は、操作が容易で若者から高齢者まで普及しているLINEに着目。2024年度から全国で運用している道路緊急ダイヤル(#9910)のLINE版の仕組みを応用した報告・共有システムを開発した。
 システムの流れは、道路管理者や災害協力会社が被災を発見した際に、LINE上で土砂災害、冠水、倒木、路面被害など該当する災害を選択し、GPS(全地球測位システム)により示された位置情報を調整した上で、現地の写真データを添付し、通行止めなどの通行状況などを入力して送信する。送信した情報は関係機関で共有するデジタル地図に自動表示される仕組みになっており、被災箇所の位置と状況を即座に把握することができる。
 システムは、今年1月から試行的に関東地方整備局と関東甲信1都8県5政令指定市で運用を始めた。3月には関東地方整備局と東京国道事務所、東京都建設局、災害協定を結んでいる日工建設、関東地域づくり協会が都内で情報共有訓練を実施。首都直下地震が発生した想定で、がれきや液状化したマンホール、放置車両の状況を報告、共有し、迅速な復旧計画の立案につながることを確認した。訓練結果を基に、6月末に試行運用を全国に拡大した。試行期間中に改良を重ねて本格運用を目指す。
 試験運用に関わる国交省道路局国道・技術課道路メンテナンス企画室の小野寺純一課長補佐は「復旧計画などの立案やTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の派遣を行う上で、災害の初期段階でいかに早く多くの情報を入手するかが重要となる。その意味で効果がある取り組みだ」と語り、普及に力を入れている。