特定率は4割台継続/評価基準の統一・公表求める声/コンサル24年度プロポーザル実績/本社調べ | 建設通信新聞Digital

8月26日 火曜日

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特定率は4割台継続/評価基準の統一・公表求める声/コンサル24年度プロポーザル実績/本社調べ

プロポーザル方式の特定状況(単位:100万円、特定率は%)
 日刊建設通信新聞社は、建設コンサルタント業務の売上高上位50社程度を対象に、2024年度のプロポーザル方式の特定状況、運用上の問題点やその改善点などをアンケートし、37社から回答を得た。このうち、プロポーザル方式で参加実績ゼロの1社を除く36社の集計値を見ると、特定件数、金額はともに前年度を下回った。特定件数を参加件数(提案書提出)で割った特定率は、全社平均で44.9%と2ポイント低下したが、19年度以来、4割の水準を維持している。 24年度の参加件数は2.5%増の8706件、特定件数は1.8%減の3908件だった。12社が前年度より特定率を高め、アジア航測、オオバ、復建技術コンサルタントが2桁増だった。特定率が4割を超えた企業は25社で、このうち5割超は11社だった。
 金額は0.9%減の1420億8600万円となり、19社が前年度を上回った。10億円以上増加したのはアジア航測、オリエンタルコンサルタンツ、日本工営の3社。前年度比で50%以上伸びたのは、アジア航測、協和コンサルタント、大日コンサルタント、日本振興の4社。
 特定率向上に向けた各社の取り組みでは、「模擬ヒアリングを実施しプレゼンテーション能力を磨く」「提案書の工夫と改善」「過去に評価の高かった提案書を社内共有し、ナレッジとして活用している」など、提案書とヒアリングの改善に注力する声が多かった。
 中には「経験豊富な技術者を中心に体制を組み、表現力のある資料を作成している」「入札前に現地踏査を実施し、地域特性を提案に盛り込む」など、人材配置・現地調査も組み合わせた総合力で勝負する企業もある。
 発注者側の運用については、肯定と不満が交錯する。「プレゼンテーションの比重が高まり、提案の表現力が評価されるようになった」「形式がシンプルになり、提案作成の負担が軽減された」「公平性の観点から評価基準を公開するケースが増えた」といった前向きな変化を歓迎する意見が寄せられた。
 一方で「地方整備局ごとに評価の重点が異なり、統一感に欠ける」「特に変化は感じない。従来と同じように価格が重視されることが多い」といった指摘をはじめ、書類作成負担のさらなる軽減などを求める意見は根強い。
 改善点や要望では、「評価基準が曖昧で、どの点が評価につながるのか不明確。もう少し詳細を公表してほしい」「ヒアリングの評価が主観的であり、採点者による差が大きい」など、さらなる透明性の確保や明確な評価を求める声が多い。
 また、「著作権に関わる成果物(計算プログラムなど)の取り扱いについて、仕様書に明記する、あるいは着手時協議で相互同意するなどの工夫を加えられないだろうか」とする投げ掛けのほか、「女性や若手の登用を加点要素にするのは良いが、大手企業が有利になり中小企業は不利ではないか」と評価の制度設計の難しさを感じさせる意見も寄せられた。