ＪＲ東日本は、モビリティー事業で初の中長期戦略「ＰＲＩＤＥ＆ＩＮＴＥＧＲＩＴＹ」を新たに策定した。２０年後の未来を見据え、１０年後の姿と成長戦略を構築。安全レベル向上や技術革新・構造改革といった四つのアプローチを掲げ、グループ経営ビジョンである「勇翔２０３４」で示したモビリティー・ビジネスの二軸経営による成長戦略を具体化した。
　当該戦略では、１０年後に向けて▽安全レベルの向上▽収益力向上・社会課題解決▽技術革新・構造改革▽社員の働き方改革－－の四つのアプローチを提示した。
　安全面の向上では、デジタルツインやＡＩ（人工知能）の活用に加え、衛星を活用した踏切保安システムの導入に取り組む。ホームドアをはじめとした設備・システムの整備や高架橋の耐震補強なども着実に進める。
　さらに、資産である鉄道用地の再編・開発により、地域の拠点と新たな流動を生み出す方針を示した。モニタリング技術の活用などによる安定輸送対策と合わせ、収益力のさらなる向上を図る。
　技術革新に向けては、現在検討しているエアモビリティーの新規事業化、環境影響低減を考慮した車両や設備開発・導入などを加速化するとともに、高効率な新エネルギーの追求、メンテナンスフリー設備の開発・導入、衛星の高精度位置情報の活用も検討していく方針だ。
　ＪＲ東日本の喜●（勢の異体字）陽一社長は９日の定例会見で、「モビリティー事業に対する強い決意を戦略の中で明らかにした」と意気込みを述べた。
　３０年以降に検査自動化の拡大やウォークスルー開札の開始、高架橋などの大規模改修を進め、３５年ごろをめどに山手線へのドライバーレス運転の導入、４５年ごろの衛星活用による列車制御システム導入を目指す。