大成建設 南摩ダムで実証/複数建機が無人施工/他社製機とも協調運転 | 建設通信新聞Digital

10月12日 日曜日

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大成建設 南摩ダムで実証/複数建機が無人施工/他社製機とも協調運転

実証実験の全体図
 大成建設は、複数の自動運転建設機械の協調運転を制御するシステム「T-iCraft」を南摩ダム本体建設工事(栃木県鹿沼市)に導入し、自動運転クローラーダンプ、ブルドーザーと遠隔操作バックホーの3機種による完全無人化施工を実証した。同システムは、自社製に加え、他社製建機とも協調運転できるのが特長となる。今回、作業エリアが狭いなど難易度の高い現場でも効率的な運転制御を実現した。
 実証は、国土交通省が示す、建設機械施工の自動化・遠隔化技術の「自動施工における安全ルール」にも合致する取り組み。狭く複雑な経路での運搬や、狭いエリアでの盛り土などの作業を協調運転により迅速・正確にできるかを確かめた。有人操作機との連携はHOG(ヒューマン・オペレーティング・ガイダンス)システムを使った。
 クローラーダンプの走行ルートは最小幅5m、高低差が20mあり、折り返し走行が必要な複雑な経路だったが、周囲の障害物を検知して自動走行する機能により安全に運搬することができた。
 ブルドーザー敷き均しエリアは、幅10mの狭い場所でありながら、クローラーダンプで運搬された土砂を計測し、最適な経路生成の機能を持つ自動運転ブルドーザーで敷き均すなど、効率的な運転制御を実現した。
 計画入力後、シミュレーションによる評価を行い、その後、施工がシミュレーションどおりに完了しているかをデジタルツインで確認。出来形管理・評価を行った結果をフィードバックして次の作業に反映した。建設工事の計画、施工、出来形管理、評価、フィードバックまでの一連の施工サイクルのオートメーション化も実現した。
 今後は、ダム建設工事や造成工事に同システムを積極的に導入する。国土交通省が策定し、建設現場でのオートメーション化を掲げる「i-Construction2.0」を実現するための取り組みとして推進し、人手不足の解消とさらなる生産性向上を目指す。