【問われる物流改革への取組/負担は発・着荷主で公平分担】
建設業と並んで長時間労働が指摘される物流業界。働き方改革に伴い、輸送力の逼迫(ひっぱく)が課題となっている。解消に向けて政府は4月、業務の効率化や適正価格化を荷主、物流会社に求める枠組みを法制度化した。来春以降、規模の大きな事業者は、対策計画の策定が求められる。こうした中でレンタルのニッケンが今夏、対応策などをまとめた行動計画を策定した。同社によると、建設機械レンタル会社では初めてのこと。取り組みの旗を振ってきた堀之内宏常務執行役員に話を聞いた。 経済産業省の2023年の報告では、働き方改革の適用で輸送能力が不足し、30年には3割以上の荷物が運べなくなるとされる。「運送会社はレンタル会社にとって、大事なパートナーだ。彼らがいなければ、われわれの事業は立ち行かない」と危機感が募った。
24年4月に残業時間の上限規制が物流業にも適用された。同じ頃、物流効率化法と貨物自動車運送事業法が改正され、今年4月に施行された。荷物が手渡される地点での待ち時間や荷役時間、積載効率に焦点を当て、これを関係者が連携して削減する。26年4月以降は、特定事業者に中長期計画策定の義務も課される。物流会社、配送を依頼する発荷主、荷物を受け取る着荷主、それぞれの連携強化が強く求められた。
「国が進める物流改革は、『努力目標』から『義務化』へ格上げされた。昔からの商慣行を強制的に変えるものだ」
同社が対策計画づくりに着手したのは4月初旬。業務の棚卸しを始めてみると、ヒューマンエラーで荷待ちなどが確認できた。「ごく一部だったが、期せずして運送会社にしわ寄せが向かってしまっていた事例はあった」と振り返る。実態を調査した上で、計画策定を進めた。
デジタルシステムの導入や荷運びを効率化するパレットの拡充。従来の取り組みに一段アクセルをかける内容で、社内全体で目的意識が明確になった。「自らを律するルールを目に見える形で示したことの意味は大きかった」と話す。
今、特に力を入れるのは、検品の効率化だ。同社が扱うレンタル品は100万点を超える。こうした一つひとつに、検品を瞬時に行えるタグ付けを進めている。気の遠くなりそうな作業だが、「一つひとつが荷待ちの抑制、業務の効率化につながる」と地道な取り組みの意義を強調した。
物流改革には、適正価格の浸透も不可欠だ。残業時間を規制し、労働時間の縮小で生活レベルが下がれば、担い手は外部産業に流出する。「物流会社に適切に支払うために、今度はわれわれレンタル会社側も、コストを価格に反映させる必要がある」と説明する。
「ドライバーの健康的な労働環境を担保しつつ、賃金の適正化、需給逼迫を効率化で最小限に抑える。従来、しわ寄せが向かいがちだった物流会社の負担を、発荷主、着荷主が公平に負担する。その上で、かかったコストを皆が価格に反映させる“適正価格”の連鎖が重要だ」と話した。
建設業と並んで長時間労働が指摘される物流業界。働き方改革に伴い、輸送力の逼迫(ひっぱく)が課題となっている。解消に向けて政府は4月、業務の効率化や適正価格化を荷主、物流会社に求める枠組みを法制度化した。来春以降、規模の大きな事業者は、対策計画の策定が求められる。こうした中でレンタルのニッケンが今夏、対応策などをまとめた行動計画を策定した。同社によると、建設機械レンタル会社では初めてのこと。取り組みの旗を振ってきた堀之内宏常務執行役員に話を聞いた。 経済産業省の2023年の報告では、働き方改革の適用で輸送能力が不足し、30年には3割以上の荷物が運べなくなるとされる。「運送会社はレンタル会社にとって、大事なパートナーだ。彼らがいなければ、われわれの事業は立ち行かない」と危機感が募った。
24年4月に残業時間の上限規制が物流業にも適用された。同じ頃、物流効率化法と貨物自動車運送事業法が改正され、今年4月に施行された。荷物が手渡される地点での待ち時間や荷役時間、積載効率に焦点を当て、これを関係者が連携して削減する。26年4月以降は、特定事業者に中長期計画策定の義務も課される。物流会社、配送を依頼する発荷主、荷物を受け取る着荷主、それぞれの連携強化が強く求められた。
「国が進める物流改革は、『努力目標』から『義務化』へ格上げされた。昔からの商慣行を強制的に変えるものだ」
同社が対策計画づくりに着手したのは4月初旬。業務の棚卸しを始めてみると、ヒューマンエラーで荷待ちなどが確認できた。「ごく一部だったが、期せずして運送会社にしわ寄せが向かってしまっていた事例はあった」と振り返る。実態を調査した上で、計画策定を進めた。
デジタルシステムの導入や荷運びを効率化するパレットの拡充。従来の取り組みに一段アクセルをかける内容で、社内全体で目的意識が明確になった。「自らを律するルールを目に見える形で示したことの意味は大きかった」と話す。
今、特に力を入れるのは、検品の効率化だ。同社が扱うレンタル品は100万点を超える。こうした一つひとつに、検品を瞬時に行えるタグ付けを進めている。気の遠くなりそうな作業だが、「一つひとつが荷待ちの抑制、業務の効率化につながる」と地道な取り組みの意義を強調した。
物流改革には、適正価格の浸透も不可欠だ。残業時間を規制し、労働時間の縮小で生活レベルが下がれば、担い手は外部産業に流出する。「物流会社に適切に支払うために、今度はわれわれレンタル会社側も、コストを価格に反映させる必要がある」と説明する。
「ドライバーの健康的な労働環境を担保しつつ、賃金の適正化、需給逼迫を効率化で最小限に抑える。従来、しわ寄せが向かいがちだった物流会社の負担を、発荷主、着荷主が公平に負担する。その上で、かかったコストを皆が価格に反映させる“適正価格”の連鎖が重要だ」と話した。











