新社長・大建設計 田嶋慎也氏 | 建設通信新聞Digital

12月5日 金曜日

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新社長・大建設計 田嶋慎也氏

【挑戦×人間力×地域密着】
 「相談先として真っ先に思い浮かべてもらえる会社になる」。11月25日付で大建設計の社長兼社長執行役員に就任した田嶋慎也氏はこう力を込めるとともに、そのために必要な視点として、「チャレンジ」「人間力」「地域に根ざす」というキーワードを挙げる。これらを掛け合わせることで「大建設計らしさ」を磨き上げ、さらなる飛躍を目指す。田嶋新社長に今後の経営戦略を聞いた。--経営方針を
 「昨年策定した『経営方針2024』をベースに、さまざまな施策を進めていく。特に社内外の“つながり”を大切にしていきたい。情報交換や技術交流の場として、全国各地の拠点に分散している社員同士が集まり、顔を合わせる場を設けていきたいという思いがある」
 「挑戦することも欠かせない。一歩踏み出すことがプラスアルファの価値を生む。全てのチャレンジが成果に結び付くとは限らないが、決して負にはならない。世の中にアピールできるものとは何かを考えながら常に挑戦を続けていく」
 「AI(人工知能)が急速な進化を遂げ、スタンダードなプランであれば簡単に出力できる世の中になってきている。そうした現在だが、挑戦するのは常に人間だ。これまで以上に、“豊かな人間”になることが求められる。そのためにはさまざまな人と話し、さまざまなことに触れ、さまざまなものを見ることが大切だ。世の中には知らない世界がたくさんある。経験の数が建築としてのアウトプットの幅を広げる」
 「地域に根差すことも忘れてはならない。われわれは建築のプロフェッショナルだが、地域のプロフェッショナルはその場所に住まう皆さんだ。地域の皆さんと一緒になって考えるスタンスが重要となる。われわれの仕事はその中からいろいろな思いをくみ取ること」
--注力したい用途は
 「われわれが得意としているプラント系や水族館、動物園はこれまでと同様にきちんと取り組んでいくとともに、時代のトレンドを捉えながら、幅広く挑戦していきたい。『大建設計なら何でもできそうだ。相談してみよう』と思ってもらえるように、チャレンジを続けていく。地方のプロジェクトも変わらず注力する」
--建設費高騰への受け止めを
 「コストコントロールが非常に重要になっており、コストをかけない躯体づくりといったアプローチも有効になる。当社はプラント系を得意とし、これまでかなりの数の製鉄所の設計に携わってきた。その中では、鉄骨量を減らして良いものをつくるノウハウを蓄えてきた。その考え方は他の用途にも応用できる」
--AI活用の展望を
 「AIは使っていかなければならないツールだ。情報管理を含めた使い方をきちんと確立させて活用していく」
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 (たじま・しんや)1993年3月神戸大大学院工学研究科建築学専攻課程修了後、同年4月大建設計入社。2020年1月執行役員九州事務所長、21年11月取締役、23年1月取締役兼執行役員大阪事務所長、24年11月取締役兼常務執行役員大阪事務所長を経て、25年11月から現職。趣味はスポーツで、見るのもやるのも好き。かつてはテニスやサッカーをしていたが、現在はゴルフに打ち込んでいる。兵庫県出身。68年7月18日生まれ、57歳。
◆記者の目
 実直で紳士的な落ち着いた人柄の中には、「やってみよう」精神でさまざまなことに挑戦してきた、潔さや思い切りの良さも見え隠れする。その大胆さを表すように、学生時代はバックパッカーとなって世界を旅してきた。1カ月半もの間、欧州と米国を訪ね歩いたことも。「困難にぶつかった時にはできることを全てやる。結果はその後についてくる」を合言葉に、これまで脈々と紡がれてきた大建設計の足跡を、未来につないでいく。