多様な都市機能を集積/駅前エリアの将来像まとめる/京都駅前再生有識者会議 | 建設通信新聞Digital

12月26日 金曜日

関西

多様な都市機能を集積/駅前エリアの将来像まとめる/京都駅前再生有識者会議

多様な都市機能の集積など目指す
 京都市の「京都駅前の再生に係る有識者会議」(座長:大庭哲治京大大学院教授)は、これまで議論してきた駅前エリアの在り方について意見まとめ案を作成した。おおむね20年後のあるべき将来像を「京都駅の玄関口にふさわしいまち」「行きたくなる、過ごしたくなるまち」「京都経済の牽引(けんいん)役、共創の一大拠点」「利便性の高い交通結節、駅とまちのスムーズなつながり」に設定し、実現に必要な取り組みをまとめている。 「成長と共創・交流を促す多様な都市機能の集積」では、京都経済の牽引役、共創の一大拠点として、ビジネス・商業・文化芸術・学術・市民らの団体・人材が集い、交流するまちを目指して、多様な都市機能を集積すべきとした。
 住宅やホテルは立地誘導の対象とせず、高い国際競争力を持つビジネス拠点化やビジネス・商業・文化芸術・学術・研究開発などの関連施設集積による交流・イノベーションの集積などを挙げている。
 「駅や駅前広場の機能向上、楽しみ・憩える人中心の空間づくり」では、多くの市民や世界からの来街者を迎える京都最大の交通結節点として、利便性が高く居心地の良い駅や駅前広場を創出すべきとした。
 京都の玄関口にふさわしい人中心の空間づくり、駅を出た瞬間にランドマークや町並みが一望できる空間構成、歩きやすく、滞留や交流を生み出す空間やしつらえとすることなどが挙げられている。
 「回遊性の向上や歩いて楽しいウオーカブルなまちづくり」では、歩きやすい、歩いて楽しい環境や駅周辺エリアの歩行者ネットワーク、回遊性を創出し、地域の活性化につなげるべきとした。
 歩行者空間の幅は幹線道路で6m以上として円滑な通行や滞留を促し、その他の通りでは両側に既存プラス1.5m以上の空間を創出することや、駅前エリアの自家用車利用や駐車場を抑制した公共交通中心のまちづくり、沿道建物の建て替えを機とした低層階のセットバックなどを盛り込んだ。
 「京都駅前にふさわしい良質な町並みの創出」では、玄関口にふさわしい風格やにぎわいを有し、駅から出た時に京都らしさを感じられる新たな京都駅前の風景を創出すべきとした。
 周辺寺社からの眺望に配慮して、建物の高さ上限は駅前広場周辺では駅ビルと同じ60mまで、その周辺は45mが妥当としたほか、建物の外観は京都駅前にふさわしい、優れたデザインにすることなどを提言している。
 「公民連携やエリアマネジメント」ではまちの将来像を実現させるため、関係する多くの主体が連携して継続してまちづくりに取り組むべきとした。
 エリア価値やイメージの向上、一体感のあるまちの運営、自制に応じた取り組みの展開のため、公民の関係者による協議会を設置。民間主導の持続可能なエリアマネジメント推進体制の構築と行政による環境整備など、成長を続けるため、公民連携の不断の取り組みが必要とした。
 スケジュール案では、駅前広場と道路空間において、短期から中期にかけて広場や道路の再編に向けた調査や検討、社会実験を実施するほか、現広場空間、現道路空間の利活用に取り組むべきとした。
 都市機能の集積では、短期で都市計画の見直しやまちづくりガイドラインの作成を行い、中長期で民間建物の順次更新による機能集積を図るとしている。
 エリアマネジメントでは、短期で関係者協議、組織・仕組みの構築を実施し、中長期でエリアマネジメント活動の展開によるエリア価値向上と公共空間利活用に取り組む考えを示している。