【あなたはなぜ建設業に?】
採用難が深刻さを増している。インディードリクルートパートナーズによると、今春卒業予定の大卒求人倍率は建設業で8倍を超えた。2010年から増加傾向にあり、直近では10倍を上回る年もあった。担い手不足が続く中、企業はどう向き合い、学生は何をきっかけに建設業を目指すのか。地下工事に強みを持つ大豊建設で、内定者や人事担当者を取材した。
電車好きが高じて入社したという和所柊さん。きっかけは運転士の「カッコいい」姿。ただ「運転するのはちょっと…」。ならば「線路をつくる側で頑張ろう」と環境都市工学部へ進学した。理数系はもともと得意分野。将来は「技術開発をしてみたい」と夢を語る。
海洋土木を専攻した吉留皓平さん。シールド工事を手掛ける大豊建設は身近な存在だった。インターンシップの現場で「やりがいがある」と実感し、気持ちが固まった。「ものづくりが好きだ。いろいろな人と関わり、話を聞き、人生の将来設計を立てたい」と話す。
本部真央さんの場合、ものづくりはありふれた日常だった。祖父は電気工事士。工具は身近な存在で、一緒につくった靴箱は今でも心に残る。インターンシップでは現場の輪に入り「楽しかった」とにっこり。入社が決まり、家族も「やったね」と大喜びだったという。
バスケットボールが趣味の勢川義貴さん。部活で汗を流した帰り道、つい目が止まるのが町中の工事現場だった。「毎日、少しずつ出来上がっていく様子に引かれた」。新社会人に向けて「まじめにコツコツやっていきたい」と白い歯を見せた。
法学専攻の水谷穂乃香さんは事務職の採用だ。会社との出会いは就活中、校内でたまたま手に取ったパンフレットだった。「現場を事務で支え、日本の社会インフラに貢献できる。学生時代のマネージャー経験も生かし、頑張りたい」と意気込む。
【焼き直し通用しない/問われる流行読む力】
業界の足元には若い志があふれている。ただ、そこにタッチするのは至難の業だ。
「時代がどんどん変わっている」と話すのは、同社で学卒採用を担う大屋和俊人事課長。担当に就いて13年目となり、キャリアとしてはベテランの域に入っている。ただ、経験にあぐらをかけるほど「余裕はない」という。なぜなら学生との接点のつくり方が、毎年のように変わるためだ。
「紙のパンフレットはデジタル資料や動画に置き換わった。直近ではSNS(交流サイト)の準備を急ピッチで進めている。以前は就活イベントで接点を持てた学生から選べばよかったが、今はインターンシップをしないと会社説明会に人が集まらない」
部下約10人に指示を出しながら、週末は自身も各地のイベントを回る。「流行は次々変わる。マネージャーだが、ほとんどプレーヤーだ」と、慌ただしい日々を明かす。
決まった時期にまとまった人数を採る学卒採用。一見すれば年中行事にも見えるが、昨年の“焼き直し”が通用しないのが実態だ。建設工事さながら、一品一様のプロジェクトとして取り組まなければ、人は採用できない。
