日本電設工業協会(文挾誠一会長)は、「建設工事における適正な工期確保に向けた対応指針(電気設備工事)」を抜本的に改訂した。建設現場の構造的な要因によって後工程を担う電気設備工事の施工期間が十分確保されず、過度なしわ寄せが生じている事例があるとして、必要な対応に「契約条件の明確化」など3項目を打ち出した。発表した6日の会見で文挾会長は、受注者にも著しく短い工期を禁止する改正建設業法など近年の新たな規律導入を「構造転換の契機」と捉え、適正工期確保に向けた活動を一層強力に展開する方針を示した。
時間外労働規制の適用、改正建設業法をはじめとした第3次担い手3法の全面施行など、近年の制度改正を反映し、全面的に見直した。2009年に策定した指針の改訂は19年以来。
電気設備工事企業が適正な工期の確保に向けて行うべき対応には、▽契約条件の明確化▽積算体系と原価反映の見直し▽設計段階の改善--の三つを挙げた。
まずは契約時点で透明性・協議性を確保する必要があるとし、発注者と元請けに対する見積もり提出時の明確な条件提示を業界全体で標準化すべきとした。提示する事項には、「電気設備工事に必要な概成工期」「工期変更が生じた場合の対応ルール」「4週8閉所の厳守」「設計変更に対する受付期限の設定」など13項目を挙げた。見積書と契約書への記載例も示している。
併せて、積算体系と原価設定に工期が与える影響を適切に織り込むことが不可欠とした。特に、短工期に起因して発生する割り増しコストは実費を基本とした積算根拠を整理した上で、見積もり段階に条件として明示し、適切に価格へ反映させる必要性を示した。
電気設備工事の工期問題は設計と施工が分断された現行の業務体制にも根本的な原因があるとし、設計段階の改善も必要な取り組みに挙げた。一例として、構造体に関わる主要な納まり変更の影響を最小限にするためには、設計段階での十分な検討と関係者間での確認・合意が重要としている。
見積もり・契約前、契約書作成時、施工準備・着手時、変更・問題発生時、現場終了後の五つの段階で実務的に確認・対応すべき事項も整理し、チェックリスト形式での具体的な行動指針として示した。
文挾会長は「新たな規律の導入により、建設業全体で徐々に改善されてきているが、適正な工期が確保されていない工事が地方を中心にまだまだある」と述べ、「会員への新たな指針の周知徹底を図るとともに、国土交通省との定例懇談会や元請け団体への要望などにも活用し、工期が改善されるように活動していく」と力を込めた。
