
戸田建設は、地中空洞に注入材を充填し、空洞情報を保持したまま試料として採取できる新たな調査手法を確立した。従来の孔内カメラによる観察では困難だったセンチメートル単位での空洞厚や周辺地盤の状況を、実物として直接観察することが可能となり、調査精度が大幅に向上する。地下水で満たされた環境下にも適用できる点も特長。大規模な道路陥没の要因となる地中空洞を正確に把握し、道路インフラの安全確保に貢献する。
これまで地中空洞の直接調査には、ボーリング掘削後に孔内カメラを挿入して撮影する手法が主流だった。しかし、映像からの推定に依存するため空洞情報の精度に限界があるほか、孔内に水が存在し濁っている場合には視認性が低下し、正確な情報が得られないといった課題があった。
そこで同社は、映像に依存しない手法として、先行ボーリング掘削後に孔内へ注入材を充填し、硬化後に再掘削してコア試料を採取する技術を開発。これにより、空洞の形状や厚み、周辺地盤の状態を高精度に可視化できる。調査手法は、国土防災技術(東京都港区、東康治社長)、カテックス(名古屋市、加藤已千彦社長)と共同で確立した。
検証実験は、事前調査により深度10―12メートルに地中空洞の存在が想定された箇所で実施した。その結果、注入材が空隙に隙間なく充填されること、周辺地盤を乱すことなく砂礫の形状を保持したコア試料を高精度で採取できることを確認した。
今後は、この手法により高精度に把握した地中空洞に対し、ピンポイントかつ効率的に施工可能な新たな注入対策技術の確立を目指す。将来的には、地中空洞の「調査」から「対策」までを一体的に担う体制の構築を視野に入れる。
