
建設業界の重層下請け構造を巡り、元請けから工事を請け負う下請けが報酬面で課題を感じている実態が国土交通省の調査から浮かび上がってきた。特に建築工事では「適切な報酬を得られない」との回答が3割を占める。他方で元請けなどの注文者側は、下請けの施工品質や安全性の低下を問題視しており、元下間の課題認識の差が浮き彫りとなった。
重層下請け構造の実態把握を目的に、元請け会社や下請け会社にアンケートを実施した。元請けや中間下請けによる注文者としての回答は計2096件(土木1251件、建築845件)、中間下請けや最終下請けといった請負人の立場からの回答は計697件(土木249件、建築448件)だった。
重層下請け構造に起因する課題について、請負人目線では「適切な報酬を得られない」との回答が多く、土木で約2割、建築で3割近くに上った。「報酬の受領時期が適切でない」も1割弱を占めた。
また、「労働時間が長時間化している」との回答も土木で約1割、建築で約2割あった。請負人の立場では処遇や労働環境を課題と捉えている傾向が強い。
一方で注文者目線の回答では「下請けの施工品質や安全性が低下している」が多く、土木、建築とも約3割に達した。そのほか、「下請けと報酬に関して紛争が生じやすい」「下請けの労働時間が長時間化している」が1割程度に上った。
元請けと中間下請けに対して、下請けに工事を発注する理由を聞いたところ、元請けは「自社のみで請け負えない業種があるため」、中間下請けは「人手や機材の不足を補うため」との回答が最も多かった。
土木1026現場、建築433現場を対象に現場の下請け次数も確認した。3次までの現場は土木で9割以上だったが、建築は約7割で重層化の傾向がより強かった。建築は5次以上の現場も1割程度あった。
建設業政策の今後の方向性を検討する有識者勉強会では、実態調査の結果を材料に議論を交わした。3日に公表した取りまとめでは、重層下請け構造の改善に向けて、取るべき産業政策を検討するよう提言。政策の具体化に向けて建設業関係者による検討会の設置も提案しており、今後も議論の焦点となりそうだ。

