公共事業予算が横ばいで推移する中での建設コスト上昇に起因する実質事業量の減少が顕著になっている。日本建設業連合会(宮本洋一会長)の調べによると、国土交通省直轄のWTO工事は2024年度に、22年度比で契約件数が約4割、当初契約金額が約3割も減った。日建連は、必要な事業量を確保し、危機管理投資を構成する防災・減災、国土強靱化の加速化・深化や、経済成長を支える社会資本整備を計画的に進めるため、公共事業関係費の当初予算の規模拡大を訴える。
国の公共事業関係費の当初予算はこの10年間、約6兆円規模で推移してきたが、近年の資材価格高騰や必要な労務費確保などにより、実質的な事業量と発注件数が減少してきた。建設工事費デフレーター補正を掛けた実質当初予算額推計値によると、15年度は予算額と補正額が同水準の6兆円だったが、24年度は予算額6.1兆円に対して補正額が4.7兆円にまで目減りしている。
これを裏付けるように、WTO案件を対象に整備局発注工事の推移を見ると、22年度は契約件数が259件、当初契約金額が4745億円だったが、24年度は件数が約39%減の159件、金額が約28%減の3401億円と大幅な減少となっている。
日建連はこのような現状を踏まえ、当初予算の規模拡大による実質事業量の確保を求めるとともに、施工を効率化する発注の平準化や計画的な早期執行の観点から、債務負担行為や事業加速円滑化国債の活用拡大による適切な規模・工期を確保した発注を働き掛ける。
また、予算制約を理由に、契約工事の数量減や打ち切りが一定数発生していると指摘。当初契約で予定していた工事目的物の完成のため、契約変更に必要となる予算の確保も求める。
日建連の土木工事を対象とする会員アンケートによると、国(道路・河川)、高速道路会社、地方自治体の竣工済み現場の約3割で数量減・打ち切りがあった。発生状況は前年度より改善傾向にあるものの、このうちの1割弱は「受注者に大きく悪影響を及ぼした」との回答だった。想定していた配置技術者の工事実績不足や予定していた協力会社への影響など、受注者の損益以外の影響も起きている。
日建連は、整備局ごとに異なる部分がある設計変更ガイドラインの運用統一や、受発注者間の円滑なコミュニケーションなどを呼び掛けていく方針だ。
