東京商工リサーチは、中東情勢が緊迫する中、塗装工事業が深刻な事態に追い込まれているデータを「TSRデータインサイト」で公表した。多くの塗料用シンナーの主原料であるナフサの供給問題を受けて、それを使う塗装工事業の倒産件数(負債1000万円以上)は、2026年1―4月累計で48件(前年同期比26・3%増)に達した。この水準は1989年以降、02年の49件に次ぐ4番目の高さという。
シンナーなど資材価格の高騰や在庫不足が長びくと、塗装工事の受注にも支障をきたすため、塗装工事業の倒産件数が年間で過去最多に迫る可能性を同社は指摘している。
最近はナフサの供給問題を背景に、塗料メーカーの多くが値上げや出荷調整に踏み切り、塗料材料を始めとする各種建材の流通に影響が出ている。在庫が豊富で仕入れ調達ルートを確保する大手系列が優位な一方で、小・零細事業者は受注と在庫の狭間で苦境に立たされ、塗装工事業の倒産は48件に達した。
過去と比べて見ると、「ゼロゼロ融資」などのコロナ禍の資金繰り支援で倒産が抑制された21年同期は17件だったが、その2・8倍増となった。08年、09年同期は各39件で、既にリーマン・ショック時を超えている状況だ。バブル崩壊前の89年以降の同期比較では、不動産市況が低迷した00年が最多の61件で、今回はこれと01年の53件、02年の49件に次ぐ高水準となった。
塗装工事業は活発な住宅需要に支えられ、25年まで業績は好調だった。東京商工リサーチの調査によると、主な塗装工事業6095社の25年業績は、売上高が1兆4068億円(前年比5・2%増)、最終利益が486億円(16・5%増)と直近5期で売上高、利益ともに最高だった。
ただ、業界は職人不足や資材高騰への対応問題を抱え、特に下請け工事が多い小・零細規模の塗装工事業者は、価格転嫁が難しく相次ぐ息切れで倒産が増えていた。今回それに在庫減や、シンナーなど塗料材の価格高騰が追い打ちをかけ倒産が急増した。
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