
九州地方整備局と土木研究所は、排水機場の点検業務にフィジカルAI(人工知能)を導入する。28日に熊本河川国道事務所所管の内田川排水機場(熊本市)で、これまで実証を進めてきた四足歩行ロボットを使った点検業務の社会実装の様子を公開する。河川分野でロボットと人間がチームとなり、インフラ点検を実施する取り組みは国内初の試みだ。
点検業務には、米国のボストン・ダイナミクス社の四足歩行ロボット「Spot」を活用する。30倍光学ズームカメラや赤外線(IR)カメラ、集音マイクを搭載したロボットが施設内を巡回し、ポンプ設備の計器読み取りや、異音・異常温度の検知を自動で行う。GPS(全地球測位システム)の届かない屋内環境でもLiDAR(レーザー式測距装置)や2次元バーコードを使うことで、正確な位置把握と自動巡回が可能となる。
排水機場の年点検には10人以上の技術者が必要で、将来的には現在の施設管理水準を維持できなくなる懸念がある。深刻化する技術者不足を補完するため、実証実験を進めてきた。その結果、約3割の作業がロボットで代替可能と試算しており、10年後を目標に点検作業の約3割をフィジカルAIで自動化する計画だ。機体の高コスト化や、通信環境の整備といった課題はあるものの、技術の確立を急ぐ。
同局企画部の房前和朋インフラDX推進室長は、土木研究所で約2年にわたり実証試験を重ね「排水機場の点検が十分可能な技術レベルに達した」と経緯を説明する。自身の異動を機に、国土交通省全体の取り組みとして九州での社会実装に至った。
将来的には、生成AIとの組み合わせによる高度な状況判断や、安価な人型ロボットの活用も視野に入れており、「人間とロボットが協働する新しい働き方」の実現に向けてインフラ維持管理の現場のゲームチェンジを加速させる考えだ。

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