土木学会の池内幸司会長は25日、東京都内で会見し、2025年度会長プロジェクトの成果を発表した。土木分野のカーボンニュートラル(CN)を進める上で支障となっている規制や制度を明らかにした上で、今後の取り組みの方向性を提示。インフラ整備では工事発注時に脱炭素技術を評価する手法の構築が必要とした。今後、国交、経済産業、環境の3省に提言を提出する。
会長プロジェクト「CNでレジリエントな社会づくりプロジェクト」の成果として提言をまとめた。50年CN実現に向けて国内CO2排出量の3分の2を占めるインフラ関連の脱炭素化が不可欠とし、緩和策に焦点を当てて個別に進む現状の取り組みを体系的に整理。インフラの長期の耐用年数も念頭に、整備・維持管理など5分野で今後の方向性を示した。
建設工事のCO2排出量算定のための原単位や工事発注時の評価手法が整備されていないため、脱炭素技術の導入が進んでいないと指摘。調達時の評価手法の整備とともに、低炭素材料の採用を工事発注時に加点評価する仕組みなどが必要とした。
低炭素材料が普及していない要因には、使用した構造物の安全性や耐久性の評価が十分でないことを挙げた。対応策としてパイロット事業を通じて低炭素材料の実証データを集め、段階的に標準化・規格化することを提案した。
建機の脱炭素化にも言及した。大型の電動建機は高いCO2削減効果が見込める一方、高価なことが導入のネックになっているとし、補助金やインセンティブ(優遇措置)の導入が必要とした。
このほか、エネルギーの効率利用のため、流域単位で関係者間の水管理を調整する仕組みの構築を求めた。水力発電の普及も重要とし、施設の耐用年数に合わせて支援措置を見直すよう指摘した。
会長プロジェクトには建設や電力関係の企業、大学などから委員が参加した。土木分野に携わる関係者へのヒアリングで現状の課題を把握し、対応策をまとめた。
池内会長は同日の会見で近年の自然災害の激甚化が会長プロジェクトの契機になったことを説明し、「一定の取りまとめはできたが、まだブラッシュアップが必要だ」と提言に対する思いを語った。
