【安全・品質の高度化は?/未然防止徹底と信頼関係構築】
戸田建設の執行役員安全品質環境管理本部長に、長く建築工事の最前線を歩んできた池田寛氏が就いた。現場での豊富な経験を踏まえ、「嘘をつかず、堂々と仕事をすることで信頼を積み重ねたい」と語り、実直な姿勢を示す。担い手不足や工期の制約が厳しさを増す中、着工前の“未然防止”の徹底と協力会社との強固な信頼関係の構築に、全力を注ぐ。安全・品質のさらなる高度化を目指す池田本部長に、今後の運営方針を聞いた。
--キャリアと本部長就任の受け止めは
「入社以来、大阪支店で約35年、九州支店で約3年半、一貫して建築工事の最前線を歩んできた。今回の人事には正直少し驚いたが、この部署は現場経験を知らないとできない仕事でもある。安全も品質も現場の工事と密接に関わっている。これまでの経験をしっかりと注ぎ込んでいきたい」
--抱負は
「安全と品質は不変のものだ。一度不具合や災害が起きれば、経営基盤が揺るぎかねない極めて重要な要素でもある。一番重要なのは、地道に積み重ねてきた信用と信頼を損なわないことで、最終目的である『災害ゼロ・不具合ゼロ』に向け、起きた事象への対処だけでなく、起きる前に防ぐ未然防止を徹底する文化を組織に浸透させていく」
--仕事を進める上で大切にしていることは
「何より『堂々と仕事をする』という姿勢だ。不都合なことがあっても隠さず、嘘をつかない。駄目な時はすぐに謝って方向転換すれば問題は大きくならないことが多い。これは支店勤務時代の上司から教わった内容で、今も大切にしている。風通しを良くし、早い段階で是正できる組織を目指す」
--未然防止の具体的な取り組みは
「特に力を入れているのが、着工前に行う安全に特化した検討会だ。4年ほど前から始めた活動を昨年組織化し、現在は規模の大きな全現場を対象に実施している。現場任せにするのではなく、会社として着工段階で工期や費用、リソース確保までをグリップすることが、最終的な安全と品質の確保に直結すると確信している」
--協力会社との連携については
「協力会社は、ともに安全・品質をつくり上げるパートナーだ。工事の大型化が進む一方でリソースは限られており、協力会社組織の利友会との絆はこれまで以上に重要になっている。選ばれる元請けであるためには、誠実さが欠かせない。工程変更などの情報はできるだけ早く共有し、一度約束したことは必ず守るという姿勢を大切にしたい。価格だけで判断せず、実績や信頼関係を総合的に評価して発注する姿勢を貫きたいと考えている」
--新技術の活用と暑熱対策は
「AI(人工知能)やICTの活用を加速させるが、最後は人間の判断力が必要となる。昨年度、私が在籍していた九州支店の現場で導入し、熱中症ゼロの成果を上げた腕時計型のバイタルセンサーは、今年度から全国展開する予定だ。ただ、技術に頼り切るのではなく、それを使いこなす人間自身の感性と判断力を磨き続けることが、これからの現場運営の鍵になる」
* *
(いけだ ・ひろし)1987年3月芝浦工大工学部建築学科卒後、同年4月戸田建設入社。2019年3月大阪支店次長建築施工担当、22年9月九州支店次長建築施工担当などを経て、26年4月から現職。趣味はゴルフ、ドライブ。長野県出身。63年12月23日生まれ、62歳。
