農林水産省は、パラメトリック3次元CADソフトウエアを使った大区画ほ場の情報化施工の実用化に取り組む。ソフトウエアの機能を生かし、ドローンで空撮した点群データから容易に3次元モデルを生成する技術を実証する。調査、設計、施工の各工程で効率性を高め、事業全体で工数の3割削減を目標とする。実証した技術は将来的に用途を広げていく考えで、ほ場整備に限らず工場や宅地、防衛施設など造成工事での活用を想定している。
この事業は、内閣府の「研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)」の2026年度新規施策に採択された。期間は3年間を予定している。
農水省は25-29年度を「農業構造転換集中対策期間」と位置付け、スマート農業普及の加速化と大区画ほ場整備の拡大に取り組んでいる。
ただ、ほ場整備を担う地方の中小建設業は、就業者の高齢化と人手不足が課題となっている。情報化施工による生産性向上が打開策として考えられるものの、3次元モデル作成には高度な技術が必要で負担が大きい上に、農家からの要望などに伴う設計変更の頻度が多いためデータ修正に手間がかかるといったほ場整備特有の事情も重なり、普及は進んでいない。
農水省はこうした現状を踏まえ、農研機構が開発したパラメトリック3次元CADソフトウエアに注目。ソフトウエアの機能を駆使した抜本的な作業プロセスの変革に取り組むことにした。
ソフトウエアは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の第2期などを通じて開発。骨格線を描くだけで瞬時に3次元モデルを自動生成する機能を持つ。この機能を応用し、測量用ドローンで空撮した点群データから現況地形の3次元モデルを生成し設計や施工に活用する。
3次元モデル生成時には構造物の部材などの属性情報が自動的に付与されるため、構成材料の種類・量の自動集計や設計基準値の適合判定が可能となる。ICT建機用のデータも自動生成する。モデルの形状や構造はパラメーター(数値や変数)によって定義・操作しており、設計の一部を変更すると関連する全ての部分が自動的に更新されることから設計変更に伴うデータ修正も容易となる。
3年間をかけて複数の国営農地整備事業のほ場で現場実証を行い、導入効果を確かめる。実証の成果を基に、規格化・標準化したデータ形式や作業の流れなどを示したガイドラインを策定する予定だ。
開発技術の全国普及を目的にソフトウエアの販売や技術指導を業務とするスタートアップ(新興企業)の立ち上げにも取り組む。農研機構が27年度に設立する見通し。土地改良事業連合会や設計コンサルタント、建設会社などをターゲットに32年度の売り上げ10億円達成を目標としている。
