国土交通省が9日に開いた「持続的な成長産業としての建設業のあり方に関する検討会」の初会合では、技能者の処遇改善や繁閑差の解消、雇用の流動化など旧来からの課題解消とともに、建設業が目指すべき成長産業の方向性について意見が相次いだ。第3次担い手3法などこれまでの制度的対応を踏まえつつ、論点の政策課題が「最後のピース」(堀田昌英東大大学院工学系研究科教授)となる認識を共有した。
建設産業専門団体連合会の岩田正吾会長は、担い手確保に向けた処遇改善には労務費の基準(標準労務費)の実効性を確保すべきと強調。仕事の繁閑差も根強い課題とし、解消に向けて技能者の多能工化や合法的な流動化が必要だと訴えた。
日本建設業連合会の勝見剛総合企画委員会政策部会部会長の代理で出席した中原淳事務総長も、生産性向上の観点から技能者の流動性を高める必要性に同調。建設業務労働者就業機会確保事業の見直しや建設キャリアアップシステムの活用などを通じた取り組みの推進を提言した。
検討会で掲げる「成長産業」の在り方を巡る意見も出た。全国建設業協会の錢高久善副会長は、就業者数の増加が成長産業としての目標になるとし、そのためにも「見合う賃金が支払われる仕事にしなければならない」と述べた。有識者勉強会の委員も務めた山下PMCの丸山優子社長は、就業者の増加だけでなく「1人当たりGDP(国内総生産)の増加も成長といえるのではないか」と提起した。
民間発注者の立場で出席した不動産協会の久保博彦事務局長は、6月に立ち上げた日建連との協議会に言及。実務者レベルの幹事会の初会合を7月中に開催することを明かし、「場合によっては会議の内容も取り上げながら連携していきたい」と述べた。
堀田教授は、第3次担い手3法を通じてサプライチェーン全体の責任感が醸成されつつあるとし、「大きな変革の流れの中にあり、検討会ではいわば最後のピースとなるテーマが議論される。安定かつ多様な働き方や繁閑差、企業評価などに対して政策の選択肢を示すことが期待されている」と呼び掛けた。
