中東情勢の悪化の影響で石油を原料とした建材の高騰や品薄などにより石油依存の脆弱(ぜいじゃく)性が懸念される中で、バイオマス由来の断熱材の開発が進んでいる。実用化を進めるのがヤマシンフィルタと信州大学だ。建機用油圧フィルターでトップシェアを誇るヤマシンフィルタは、同社開発のナノファイバーフィルターが断熱、吸音、調湿など複合的な機能を併せ持つため、多分野に応用できると考えた。
開発、製品化のスピードを早めるため日本で唯一繊維学部を抱える信州大と共同で研究、製品化を進め、2030年の社会実装を目指す。
両者は、ナノファイバーを使った複数の素材の製品化に向けて取り組む。その一つがバイオマスを使った断熱材としての利用だ。バイオマス由来のエアロゲルとナノファイバーを組み合わせた構造で、軽量でありながら従来と同程度の断熱効果を発揮するのが特長だ。
先行して通常のナノファイバーを衣類の中綿として採用した製品化を進めており、従来の10分の1の厚さで同等性能を実現しているという。価格面でも「量産性に優れた独自の製法を確立しているため価格競争力がある。バイオマスを原料にしても従来の断熱材に比べてコスト面で優位性がある」(同社)という。
26日に両者は「次世代ナノファイバー機能素材の社会実装・製品化に向けた共同研究」についての記者発表会を開いた。山崎敦彦社長は「植物由来のナノファイバーは当社にとっての新たな挑戦だ」と話した。
信州大学繊維科学研究所の金翼水所長は「従来の断熱材に比べて温かくなりやすく、冷めにくい効果もある」と機能面で従来品をしのぐとアピールした。
