【繁忙期をどう乗り切る?/長期視点で戦略的受注】
大成建設の営業部門を統合的にけん引する「営業総本部」のトップに、北口雄一副社長執行役員が就任した。入社以来、横浜や四国での現場経験を経て、国家プロジェクトである「新国立競技場整備事業」の統括責任者を務めるなど、一貫して最前線の現場を歩んできた。未曽有の繁忙期が予想される建設業界でいかにして「戦略的受注」を貫き、社会に新たな価値を提供し続けていくのか。運営方針と今後の展望を聞いた。
--抱負は
「4月に営業総本部長を拝命したが、私の営業方針は明確で、これまでの路線を継続しつつ『採算重視』を徹底することにある。現在、建設市場は非常に堅調だが、単なる売上至上主義ではなく、施工体制や適正な工期を厳格に見極めた上での戦略的受注を推進していく。一方で、お客さまとの長期的なパートナーシップを築き、将来の成長につながる案件には積極的に挑戦したい。建築、土木、エンジニアリングなど各部門が連携し、全体のバランスを最適化しながら、社会課題の解決に資する受注活動を展開していく決意だ」
--現場での経験をどう営業に生かす
「私はキャリアのほとんどを現場で過ごしてきた。今でも図面を見れば施工計画や工程が瞬時にイメージとして浮かんでくる。この『現場感覚』の知見を生かしたい」
「モットーは松下幸之助の『考えて考え抜いたら、だいたい考えたとおりになる。そのとおりにならないのは考えが足りないからである』という言葉だ。国立競技場のような巨大プロジェクトでも、あらゆるリスクを想定し、考え抜くことで一喜一憂せずに対応してきた。組織運営においても、バッドニュースを早く上げられる環境を作り、最悪のシナリオまで想定範囲内に置くことで、リスク管理を徹底したい」
--注力する分野は
「建築分野では、当社の強みであるエンジニアリング力を発揮できる半導体工場やデータセンター、医療・生産施設に注力する。また、建物のライフサイクル全体を見据えたリニューアル事業を強化し、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化や耐震改修などのソリューション提供を通じて顧客の事業価値向上に貢献していく」
「土木では、激甚化する自然災害への防災・減災、老朽化インフラの更新といった社会的使命の高い分野に加え、浮体式洋上風力などの脱炭素エネルギー分野にも積極的に挑戦する。2029年から30年にかけて業界は過去に類を見ない超繁忙期を迎えると予測しており、そこに向けて当社のリソースをいかに戦略的に投入できるかが鍵となる」
--人材育成や組織の将来像について
「営業の根幹は『人』。組織運営では『ワンランクアップ大作戦』を掲げ、自らの担当範囲に限定せず、リミッターを外して上司の業務をも担う熱量で責任を持って取り組むよう説いている。3年前から開始した営業専属職の独自採用も継続し、スペシャリストの育成に力を注ぐ。若い世代にはAI(人工知能)活用などの風を吹き込んでほしいが、まずは『自社を深く理解し、好きになること』が大切だ。社員が目を輝かせて働き、仕事が楽しいと思える会社にしたい。技術の進化と人間味を融合させ、社会に貢献し続ける企業でありたい」
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(きたぐち・ゆういち)1984年3月日大大学院理工学研究科建築学専攻修了後、同年4月大成建設入社。2015年4月執行役員東京支店新国立競技場担当、21年4月常務執行役員建築営業本部長(第三)、24年4月専務執行役員営業総本部副本部長(建築営業統括)などを経て、26年4月から現職。趣味はゴルフと、日本代表が出場するスポーツの観戦。千葉県出身。60年1月6日生まれ、66歳。
