国土交通省は、AI(人工知能)を活用したダム健全度評価システムの構築について、2026年度に一定の成果をまとめる。コンクリートダムの漏水など定期検査で行う個別判定のうち、安全性や機能保持に大きく関わる判定でAIを活用する仕組みをつくる考えだ。27年度以降に試行を進め、実用化を目指す。
ダムの健全度は3年に1度の定期検査などで行うダム施設・貯水池の状態検査の結果で評価した上で、老朽化対策の優先順位判定などに生かしている。
状態検査は、検査官が土木構造物、機械設備、電気通信設備などの検査項目別に検査箇所を調査し、その箇所ごとの個別判定を行う。個別判定の結果を基にダム・貯水池の状態を総合判定する。
個別判定は、直ちに措置する必要な状態の「a」、速やかな措置が必要な状態の「b1」、必要に応じた措置を求める状態の「b2」、状態監視の継続で良い状態の「c」の4段階で評価する。
今後、全国で老朽化ダムの増加が見込まれる中で、検査を担う豊富な管理経験を持った技術者不足が懸念される。そのため、国交省は「ダム健全度評価AI活用推進事業」として25年度から検査を支援するAIシステムの構築に取り組んでいる。財源には内閣府の事前防災対策総合推進費を活用。経験が浅い技術者でも統一的な評価ができる体制構築を目指す。
25年度は、AIに学習させる教師データとして、全国581基のダム(国土交通省管理ダム107基、水資源機構管理ダム25基、都道府県管理ダム449基)の定期検査や年点検の観測値や写真などのデータを収集した。26年度はこのデータを基に、個別判定の一部をAIに任せるシステムを構築する。
27年度以降は試行運用を重ね、実用化につなげる。水資源機構や都道府県が管理するダムでも活用を促し、施設全体の防災機能確保や災害時の迅速な対応への寄与を目指す。
ダムの健全度評価に関しては、経済産業省が26年度からダムの変位やクラックの進展を高精度に計測する手法の研究開発に取り組む。AI活用推進事業とも連携し、開発した計測手法を定期検査で実践させていく方針だ。
