2016年熊本地震以後に完成した熊本県内8市町村の庁舎が耐震性能を発揮している。26年熊本地震の発生から1週間が経過する現在までに大規模な構造被害や行政機能の停止は確認されていない。免震構造を採用した宇土市や益城町といった市町だけでなく、耐震構造を採用した南阿蘇村でも災害対応を継続している。16年熊本地震を教訓に進められた庁舎整備の効果を検証する材料となりそうだ。 =1面参照
震度6強を記録した宇土市、益城町、震度6弱の大津町、震度5強の水俣市、天草市、震度5弱だった人吉市、南阿蘇村の7自治体は、いずれも現時点で庁舎への大きな被害が確認されていない。
同じく震度6強を記録した八代市では、本庁舎地下の免震ダンパーの一部にずれが確認されたものの、職員は庁舎内で執務を続け、安全確認が済んだ会議室を市民向けに開放するなど、防災拠点としての機能を維持している。
八代市によると、先週末から設計者や施工者など専門家が現地調査に入り、状況を詳しく検証している。調査結果がまとまるまでに約3週間かかる見通しだ。市は、免震ダンパー自体は本来の機能を果たしたと認識しており、調査結果を踏まえ、ダンパーの交換または機能移転を含めた対応を検討する。
構造形式の内訳をみると、宇土市、人吉市、水俣市、天草市、益城町、大津町は基礎免震構造、八代市は地下柱頭免震構造、水俣市は支柱(1階柱頭)免震構造、南阿蘇村はPCaPC(プレキャスト・プレストレストコンクリート)・RC造を採用した。
今回の地震は16年熊本地震とは震源域が異なり、被害を単純比較できない。ただ、熊本地震後に整備された庁舎が災害対応拠点として機能を維持したことは、10年間の耐震・免震化の成果を検証する重要な材料となる。
一方で、熊本地震前に完成した庁舎では非構造部材を中心とした被害も確認されている。熊本市本庁舎では天井パネルの落下や水漏れ、エレベーターの停止といった設備被害が発生し、一部執務室の閉鎖を余儀なくされるなど、災害対応拠点としての機能維持に課題を残した。
今後は、免震装置の詳細な点検や設備機能、BCP(業務継続計画)の運用状況を含めた検証が求められる。こうした結果は、県内自治体の庁舎整備の在り方や、建て替え計画をまさに議論している熊本市にも影響を与える可能性がある。
