中小企業庁は、強い中小企業構築を目指し「労働供給制約社会における中堅・中小企業の“稼ぐ力”強化戦略」を策定した。価格転嫁・取引適正化を徹底するため、官公需取引状況の実態把握を強化するとともに、(仮称)中小M&A(企業の合併・買収)支援資格者制度の早期の創設など、中小企業の円滑なM&A実施に向けた環境を整備する。成長戦略17分野への投資やサプライチェーンへの参入にもつなげていく方針だ。
価格転嫁・取引適正化の徹底に向け、国・地方あわせて30兆円規模に上る官公需分野での対策を強化する。従来の価格交渉促進月間フォローアップ調査では中小企業30万社にアンケートを配布し、10社以上の中小企業から回答が得られた発注機関は89機関にとどまるため、調査方法を改める。具体的には、国や地方自治体が主要な受注者リストを中小企業庁に提供し、これを基に中小企業庁がリストに掲載された中小企業に対して調査する方式とし、より多くの事例の調査につなげる。
サプライチェーン全体の適切な価格転嫁につなげるため、優越的地位の乱用に関する独占禁止法上の考え方(優越ガイドライン)を改定する。優越ガイドラインで実効的な価格協議が行われず対価が定められる想定事例を追記することで、独占禁止法で問題となる価格交渉を明確にする。
中小企業・小規模事業者が安心してM&Aに参入できる環境整備にも力を入れる。早期の創設を目指す(仮称)中小M&A支援資格者制度は、支援を担う個人の質の担保・向上につなげることが狙いだ。必要な知識・スキルや倫理・行動規範などを問う試験制度と登録制度を併せて運用することを想定している。21年8月に創設した「M&A支援機関登録制度」で登録した支援事業者による不適切な支援行為の情報提供が継続してあることも考慮し、支援制度の在り方も見直す。資格制度との連携した運用により登録事業者と他の事業者との差別化に向けて制度の法制化を視野に検討する。
