【注力する取り組みは?/若手・後進指導の水平展開】
「若い社員へのフォローが、自分に課せられた最終ミッションだと思っている」。約30年、鉄道や一般土木の現場畑を歩んできた。吉村幸丞氏は東急建設の常務執行役員土木事業本部長に就いてから3カ月余り、現業部門のトップとして何をなすべきかを自問してきた。そして、現場時代から重視していた若手・後進指導の水平展開との答えに至った。「『この仕事を、自分の一生の仕事にしていこう』と若手が感じられる環境をつくりたい」と語る吉村本部長に今後の方針を聞いた。
--若手に何を伝えるか
「人間の文明的な営みを振り返ると、まず水を治めて田畑に流し、少し発展すると道を通す。いずれも当たり前のステップだが、その当たり前の根幹には土木がある。土木はなぜ必要なのか。その答えを、経験を通じて実感できれば、仕事に誇りが生まれるはずだ。こうした取り組みを通じて、社会を支える技術者を育て、サステナブルな会社をつくっていく」
--市場環境は
「土木市場の仕事量は、全体として潤沢にあるとは見ていない。公共投資額は近年横ばいの状況だ。ただ、活況のデータセンターや電力事業などを背景に民間土木需要は少しずつ増えている印象を受ける。加えて当社が得意とする分野の一つであり、街の再開発に連動した駅改良工事は今後も事業が計画され、劇的ではないにせよ引き続き堅調に推移すると考えている」
--鉄道関連工事の戦略は
「普及が進むホームドア工事はわれわれの得意分野だ。地方などでは、まだ普及していないエリアもある。培ったノウハウを生かし、事業を広げていきたい」
「われわれには、『都市機能を止めない技術』がある。作業時間が限られる鉄道関連工事には特殊なノウハウが必要で、一般工事以上に着工前準備を入念に行う必要がある。本作業の前に現場外でホームを一度組み立て、部材ごとに番号を振り、本番では組み立てる順番通りに搬入する。このような取り組みを各駅ごとに今までずっと積み重ねてきた。駅改良工事は将来的に、海外でも需要が出てくるだろう。培った技術を生かしていきたい」
--注力するテーマは
「現場主義の人材育成だ。現場の人間が感じる課題感や気付きを拾い上げられるか否かは、事業の今後を左右する。現場の声を放置すれば、人も技術力も低下する。また、土木事業本部は現場を支援する立場だ。支店や現場の困りごとを拾い、迅速に支援する」
--育成の具体策は
「若手の育成で鍵になるのが、各拠点の作業所長だ。当社には、30代で所長を務める社員もそれなりにいるが、現場の若手に直接教育する作業所長のスキルアップを促そうと現在、経験豊富なシニア世代がさまざまな現場を巡回し、若手のフォローをするプログラムも進めている」
--安全管理方針は
「手順書をしっかりつくり、計画段階から安全を担保してそのとおりに作業する。その上で、安全設備外の災害発生要因となるヒューマンエラーを排除するために、『仲間の安全はみなで守る』という意識づくりを進める」
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(よしむら・こうしょう)1991年3月法政大工学部土木工学科卒後、同年4月東急建設入社。2016年4月首都圏土木支店鉄道土木部工事部長、18年4月都市開発支店鉄道土木部工事部長、20年4月東日本土木支店土木部部長、23年4月執行役員札幌支店長などを経て、26年4月から現職。「失敗を最小限に抑え、成功するまでやり続ける。それが私の信条だ」と話す。熊本県出身。68年2月29日生まれ、58歳。
