
ソフトバンクと東北大は、AI(人工知能)開発力と災害科学の知見を持ち寄り、防災に特化したAIの開発・実装に乗り出す。東北大が研究開発を進める災害デジタルツインと融合させ、平時の備えから復興までの防災対応を支援する「AI for Disaster Science基盤(AI4DS基盤)」を構築する。共同研究の場として、東北大に共創研究所を8月1日付で立ち上げる。
過去の災害記録とその対応記録、失敗、教訓を学習させることで、自律的に成長する防災AIを開発するとともに、社会実装に取り組む。防災AIと災害デジタルツインの融合で構築するAI4DS基盤の活用により、さまざまな災害のハザード・リスク予測や、災害の影響から素早く立ち直るための対応策に関する仮説生成・検証などが可能になるとしている。
東北大が研究開発中の災害デジタルツインは、津波災害を完全シミュレーションできるレベルにある。そのため、津波災害を起点としながら、将来的に地震、洪水、火山など他の災害への拡張を目指す。
2026年度に実証実験も始める。南海トラフ地震の津波災害を想定した防災訓練を27年1月に実施する宮崎県日向市で、ドローンによる避難支援にAIと災害デジタルツインを組み合わせた実証実験を行い、その有効性を検証する。
共創研究所のトップである運営総括責任者に淺沼邦光ソフトバンク次世代事業開発本部長、運営支援責任者に越村俊一東北大教授・災害科学国際研究所所長が就き、淺沼氏は設立日の8月1日付で東北大の特任教授にも就任する。共創研究所の設置期間は、29年7月までの3年間とし、期間の延長も見据える。
両者は東京都港区のソフトバンク本社で共創研究所の設立に調印した後、会見した。越村教授は、「災害の物理に由来する数値的な時空間データを大規模言語モデルに直接接地させる試みはほぼ未開拓であり、これが『AI for Science』の重要なフロンティアだと考えている」と述べ、AIと災害デジタルツインの融合が画期的な取り組みであることを強調した。共創研究所の将来像にも触れ、「幅広いユーザー、全国の大学・研究機関、民間事業者らに提供することで、データとAIの防災集合知の共同利用・共同研究拠点へと発展させていく」と力を込めた。
