来年度の政府予算編成に向けた各府省庁の概算要求の公表が近づく中、長らく価格転嫁の実現に苦慮しているアスファルト合材業界が、予算規模の行方を注視している。東京地区では、生コンクリート業界などが足元での需要の下げ止まりなどを背景に、販売価格の値上げに動き出しているのに対し、アス合材業界は歯止めの掛からない需要減少という市場環境によって、値上げ交渉を行いづらい状況が続く。また、原材料費の高騰などによる価格改定について、発注者・注文者の理解を得ようにも、大口ベースで運賃込みになっている現在の公的な物価資料では、実態の正確な説明には不十分で、製品、運搬の単価分離による取引価格の「見える化」も喫緊の課題になっている。
日本アスファルト合材協会(今泉保彦会長)の調べによると、東京地区の2027年4月見込みの生コン単価は、1m3当たり2万9800円で、09年度比で約2.4倍の上昇となる見通し。また、ダンプ労務単価は、直近の26年5月が1日当たり3万1100円で、09年度比約1.8倍の伸びとなっている。
一方、アス合材(再生密粒)は、直近が1t当たり1万2100円で、伸び率は約1.3倍にとどまっている。それも中東情勢を受けて限界に達し、4月から5月にかけて製造各社が値上げに踏み切った「瞬間的な価格転嫁」(業界関係者)の影響が大きく、中長期的に見れば、横ばいに推移しているのが現状だ。
生コン、アス合材の両業界ともに、稼働低下による固定費増や重油・電気などのエネルギー高、原材料費高騰、運搬費増という同じコスト構造の悪化に直面しているが、事業協同組合による共販体制がある生コンに比べ、それぞれの工場での個別交渉に委ねられるアス合材は価格転嫁が遅れている。
その原因の根本的なものが、需要低迷による売主側の交渉力低下だ。25年度のアスファルト合材統計年報によると、日合協会員以外を含めた全国の製造数量は、前年度比3.6%減の3424万tとなり、過去最低を更新した。5年連続の減少で、初めて3500万t台を下回った。ブロック別に見ると、最大市場の関東も3.0%減の1037万tとマイナスで、1000万t割れの危機も迫る。
日合協の担当者は「そもそもの需要がなければ、買主側との力関係から適正な価格転嫁が難しくなる。実際、工場の廃止も増加している。災害時対応の観点も含めて、道路舗装分野に対する政策的な予算配分が求められる」と窮状を訴えている。
一方、本来的には、需給バランスがどうであろうとも、近年の原材料価格や人件費の高騰などを背景とする価格転嫁は必要に応じて都度、受発注者間における適切な協議の上で、適正に実施されるべき取り組みだ。
アス合材の単価は、公的な物価資料では製品と運搬の費用が合算された「現場持ち込み」で掲載されており、合材単品の価格は見えない。ストレートアスファルトをはじめとする原材料や製造に必要な重油の費用がこれだけ上昇しているからこそ、アス合材の販売価格もこれだけ値上げしたいなど、発注者・注文者に対する説明に使いづらいのが実態という。
折しも最近は、大型工事の減少や違法な白ナンバーダンプの規制強化などを背景に、製造工場から建設現場に合材を届ける「現着(現場持ち込み)」が減り、合材を工場に直接受け取りに来てもらう「工場渡し」が増えてきている。関東地区の荷姿別構成比率によると、工場渡しは23年度に46.3%だったが、25年度は67.1%を占めるまでになった。実取引の上でも運搬費を含まないケースが増加する中、「合材価格の透明性を高める必要がある」(業界関係者)との指摘も挙がる。
