【「補正+当初」一体化予算に期待/焦点は「事項要求」の行方】
全国建設業協会と47都道府県建設業協会が、業界を取り巻く諸課題の解決に向けて、国土交通省などと意見を交わす2026年度の地域懇談会・ブロック会議が10月30日の北海道地区で全日程を終えた。補正と当初の一体化など、政府の予算編成方針がかつてない大転換期にある中、業界は安定性や継続性が期待できる当初予算化を歓迎しつつ、施工時期の平準化など「補正予算の良さ」は存命させるべく声を上げた。近年の資材価格や人件費の上昇に起因する実質事業量の減少は、地域建設業の経営に黄色信号をともすレベルにまで深刻化し、公共事業費への物価高騰分の反映が急務となっている。約1カ月の間に、全国9地区で繰り広げられた議論を振り返る。
「近年、気候変動の影響で自然災害が激甚化・頻発化し、インフラの老朽化も顕著となる中、防災・減災、国土強靱化の重要性が一層増している。一方、人口減少や担い手不足の深刻化に加え、資材価格や労務費の上昇に伴う実質的な仕事量の減少により、地域建設業を取り巻く環境は極めて厳しい状況にある」。全建の今井雅則会長は、地域の守り手であり、高市内閣が推進する危機管理投資・成長投資を支える役割も担う建設業の現状を説いて回った。
実際、全建がブロック会議の前に行った都道府県建設業協会会員企業のアンケート結果によると、全体の約半数が受注状況が悪化傾向にあると回答した。悪化の主な要因は、「公共発注量の減少」が突出し、それと密接に関係する「競争の激化」が続いた。
また、建協会員企業が不在の「協会員による災害対応空白地帯」が、ここ数年じわりと増加傾向にあり、直近調査で30都道府県の計231市区町村に上ったほか、過去3年間に人員・機材や業務規模を「手放した・縮小した」企業が1割超あることも分かっている。
公共事業への依存度が高い地域建設業の経営環境を改善するには、まず何よりも、十分な工事量を生み出せる規模の予算確保が不可欠だ。補正予算に依存した財政運営から脱却し、恒常的な施策を当初予算で措置するという新たな予算編成の起点となる27年度予算の公共事業費について、業界側は25年度補正予算と26年度当初予算の合計額に、物価上昇分を反映した規模を最低限の水準として要望した。
国交省の公共事業関係費の概算要求額は、前年度の約1.45倍となる7兆6761億円。これがそのまま認められるわけではないが、業界からは「資機材価格やエネルギーコストの高騰、さらには人件費や金利の上昇も考慮すると、実際の仕事量ベースでは正直不安が残る」との本音も漏れる。ある建協幹部は「当初予算の公共事業費は、ずっと6兆円程度で横ばいだった。補正予算の一体化で7.7兆円となっているが、この数年積み重なった未反映の物価上昇分を加味すると、8兆円でも足りない。9兆円ぐらいはほしいところだ」と指摘する。
そこで焦点となるのが、国土強靱化実施中期計画の必要経費をはじめとする「事項要求」の行方だ。年末の決着までに、どれだけ積み増せるかが注目される。
国交本省幹部は各地区の会合で、「建設業界に、公共事業予算を執行するだけの施工余力はあるのかという指摘が見受けられる。国交省として、こうした指摘は当たらないと考えており、業界も同じ認識だと思う。各地域において、業界からも十分な施工余力があるという点を発信してもらいたい」と後押しを求めた。
事実、全建が行ったアンケートでは、ほぼ全ての都道府県建設業協会が、会員企業の施工余力は十分にあり、管内で発注される公共工事の円滑な施工に問題はないと答えている。今井会長は「われわれも待っているだけでなく、行動を起こさなければならない」と呼び掛けた。
