【津波警報 光と音で伝達】
千葉県一宮町と広域Wi-Fiによる通信サービスを提供するDX通信(東京都中央区、杉本聡社長)、エイト日本技術開発などは2日、町内の釣ヶ崎海岸で、津波発生時の警報を光と音で伝える高さ約10mのコンクリート柱「防災スマートポール」の実証実験を報道陣に公開した。準天頂衛星「みちびき」から災害情報を直接受信し、高輝度LEDと長距離スピーカーによる視覚・聴覚アラートで、サーファーら海岸利用者に避難を促す。海岸部での津波情報伝達の迅速化と、平時を含めた複合的なインフラ活用を検証する。
実験期間は10月末から12月末まで。結果は2027年の年明けをめどに公表する予定だ。
一宮町は太平洋に面した海岸線が約7.5㎞にわたり、来訪者が年間約70万人に上るサーフィンの盛んな地域だ。実証実験の場所となる釣ヶ崎海岸は、21年の東京五輪でサーフィン競技会場となった。
馬淵昌也町長は、土地勘のない来訪者も多いことから、「(有事に)危険をいかに早く、正確に伝えるかが行政にとって最大の課題」と説明。既存の避難場所を活用するためにも、津波発生時の迅速な情報伝達が重要だと強調した。
スマートポールは、みちびきの災害・危機管理通報用「L1S信号」を、基地局を介さずポールが直接受信するスタンドアローン方式を採用する。基地局が被災や停電、通信混雑などで機能しない場合でも、衛星からの信号を受けて自動的に警報を発報できる点が特徴だ。
警報発報時には、高輝度の赤色LEDパトライトを点灯・回転させるほか、長距離スピーカーから音声や警報音を発信する。視覚と聴覚を組み合わせたアラートにより、広く情報を伝える。光は約300m先からの視認、音は海岸部の風や波音などを考慮し、約200-300mの到達を目標とする。
エイト日本技術開発は、警報設備の配置計画や津波避難計画の策定を担う。避難場所・避難経路との整合を含めた防災まちづくりも支援する。同社の寺脇学防災保全事業部防災計画分野リーダーは、「防災設備を設置するだけでなく、警報の到達範囲や避難経路、避難場所まで一体的に検討することが重要だ」と指摘する。
今回の実証を地域の防災計画を実効性のあるものにする第一歩と位置付け、将来的な沿岸自治体にも展開したい考えだ。
