【泉岳寺駅・品川駅北口再開発】国際拠点・品川を形成へ まちづくり工事がいよいよ本格化 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【泉岳寺駅・品川駅北口再開発】国際拠点・品川を形成へ まちづくり工事がいよいよ本格化

 東京都が施行する再開発事業、「泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業」の特定建築者の公募手続きが進んでいる。延べ約11万1200㎡となる施設整備は単独で見れば単なる再開発だが、その地下では隣接する地下鉄泉岳寺駅の大規模改造と連携している。その泉岳寺駅は、3月に開業予定のJR山手線新駅・高輪ゲートウェイ(高輪GW)とデッキで接続し、新駅も2027年に開業を目指すリニア中央新幹線の始発駅・品川と通路で結ばれる構想だ。品川駅北口周辺ではJR東日本による大規模なまちづくりに向けて工事がスタートする。いよいよ都が国際拠点化を目指す品川駅周辺の開発が姿を見せ始めた。

横浜側から見た品川駅西口 駅前広場の機能イメージ


◆国内外の玄関口・品川
 都は40年代を念頭に、東京五輪後の10年間の都政の基本戦略をまとめている。19年末に公表した「未来の東京戦略ビジョン」では、各分野の未来像を示し、30年に向けた実現のための戦略を示した。まちづくりでは、都心やベイエリアなど複数の地区が役割を分担、連携して相乗効果を生み出すことで、日本の活力をリードするとの考え方が提示された。
 羽田空港やリニアの玄関口として国内外を結ぶ品川地区は、大手町・丸の内・有楽町に並ぶビジネスの拠点として日本の成長をけん引する国際交流拠点に位置づけられている。
 品川駅周辺では、都市機能を高める戦略として、高輪GW駅の設置とそれに伴う一体的な市街地開発、品川駅の再編などを推進。品川駅西口では、国が国道15号上空のデッキの新設にあわせて、次世代型交通ターミナルを整備する計画を進めている。

◆地下鉄新線構想
 品川駅は、空港などの広域交通へのアクセスに優れる一方で、都心の他の拠点と比べて公共交通による周辺地域への移動に弱みを持つことが指摘されている。この課題を解決する方策に挙げられるのが、泉岳寺駅への移動を視野に入れた高輪GW駅と、品川地下鉄構想だ。
 地下鉄構想は、品川駅から白金高輪駅をつなぐ約2.5㎞の路線。中間駅は設けず、白金高輪駅に乗り入れている東京メトロ南北線と都営三田線に接続する想定。
 国土交通省の諮問機関・交通政策審議会が19年3月に公表した調査結果では、事業費は800億円(うち建設費763億円)、建設期間は10年間と見積もられた。
 現時点で整備への道筋は見えていないものの、都は戦略ビジョンの中で、地下鉄構想について「事業計画の検討を進め構想を具体化」としており、構想を都政の上位計画に位置づける。

◆総延べ85万㎡の再開発連動
 品川駅北側のJR品川車両基地跡地周辺では、高輪GWと泉岳寺の2駅へのアクセスを視野に入れたJR東日本による総延べ約85万㎡の品川開発プロジェクト(第I期)が計画されている。
 車両基地跡の敷地など7.2haを4つの街区に分割して整備する。各街区の主な用途は1街区が住宅約860戸、学校、飲食店、2街区が劇場や展示場、3街区は業務・商業などのオフィス、4街区はオフィスに加え、ホテル、コンベンション施設などを想定している。
 2-4街区の2階部分をデッキで接続するほか、高輪GWとは4街区の東側で接続する。最も早い3街区の着工は10月を予定。全体は24年度の完成を目指す。

◆利用客増へ備える泉岳寺
 泉岳寺駅には、都営浅草線と京浜急行電鉄が乗り入れている。都交通局によると、18年4月から19年3月までの1日の乗降人員は、乗車が11万1766人、降車が11万2668人と浅草線の20駅の中でも2番目の利用者数の多さ。
 現状の駅の混雑や高輪GW駅の開業後に予測される需要の増加などを踏まえ、ホーム拡幅などの大規模改良工事を実施する。
 駅は国道15号の地下に位置するが、国道の空間内だけでは改良が困難なため、道路に隣接する民有地を含めた再開発事業を一体的に実施し、再開発ビルの地下と同駅を接続させるのが泉岳寺の再開発の狙い。

◆駅・まちの連絡強化
 現状の品川駅西口では、バスなどが停車する西口駅前広場は空間が不足しており、駅西側を南北に走る国道15号において、歩行者や車両で混雑が発生している。
 周辺の開発に伴い交通量の増加が予測されることから、国が立体道路制度を活用して国道の上空2階レベルに駅と国道西側のビルをつなぐデッキを設置し、西口駅前広場を整備する。これにより駅東口から東西自由通路を経て西口、デッキを経て国道西側までの自由な行き来を可能にする計画だ。
 リニア開業が予定される27年度の完成を目指す広場北側には、自動運転など最先端の車両・技術・システムを体感できる場として、次世代型交通ターミナルを設ける。周辺の民間開発にあわせて整備を進める南側は商業施設のほか、タクシーやツアー系高速バス、次世代モビリティーなどの乗り換えができる複合ターミナルを配置する考えだ。

品川北口周辺再開発配置図

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