【TOKYO-変貌し続ける都市②】品川・高輪エリア 世界に向けた新たな日本の玄関口 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【TOKYO-変貌し続ける都市②】品川・高輪エリア 世界に向けた新たな日本の玄関口

 明治の文明開化の象徴となる鉄道が初めて通り、近代日本のイノベーションの先駆けとなった品川が、世界に向けた新たな日本の玄関口として生まれ変わろうとしている。品川駅では、リニア中央新幹線始発駅の整備、羽田空港と直結する京浜急行線品川駅の連続立体交差事業、東京メトロ南北線の延伸などが進み、日本有数の大規模ターミナル駅へと発展する。飛躍的な増加が見込まれる国内外の利用者を呼び込むため、品川駅周辺では「TAKANAWA GATEWAY CITY」をはじめ、数々の大型開発プロジェクトが動き出している。品川・高輪エリアは国際交流拠点として、今後の日本の成長をけん引する。


建設工事が進むTAKANAWA GATEWAY CITY(計画地北側からのぞむ)

■TAKANAWA GATEWAY CITYの開発進む
 品川駅の発展を見据え、先行して開発が進められているのが、50年ぶりの山手線新駅となった高輪ゲートウェイ駅につながる「品川駅北周辺地区」だ。品川車両基地跡地約9.5haでは、国道15号沿線を4街区に分け、複合棟I(South、North)、複合棟II、文化創造棟、住宅棟で構成する5棟総延べ約84万㎡を超える「TAKANAWA GATEWAY CITY」の開発をJR東日本グループが総力を結集して進めている。

 「100年先の心豊かなくらしのための実験場」をコンセプトに、ゼロカーボン・サステナブルへの挑戦、自律分散型社会の実現、次世代モビリティーの実装などに重点を置いてまちづくりを進める方針だ。分散型スマートシティや次世代モビリティーなど先進技術の社会実装や新たなチャレンジの場にすることで地域の活力を生み出し、100年先に向けて日本のまちづくりをけん引するエリアを目指す。25年のまちびらきを目標に、各街区で建設工事が佳境を迎えているところだ。

 高輪ゲートウェイ駅の徒歩圏内には、羽田空港にアクセスする都営浅草線・京急本線泉岳寺駅がある。まちの開発に伴う利用者の増加に対応するため、東京都がTAKANAWA GATEWAY CITYの隣接地に泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業を計画し、ホーム拡幅を伴う泉岳寺駅の大規模改良工事を一体的に行う。東急不動産と京浜急行電鉄が特定建築者となり、共同住宅やオフィス、商業施設、子育て支援施設などで構成する延べ約11万2000㎡の超高層複合再開発ビルを建設する計画だ。TAKANAWA GATEWAY CITYと歩行者デッキで接続することで一体的な開発とする。

 さらに、TAKANAWA GATEWAY CITYの複合棟I(South、North)西側と国道15号に挟まれた品川駅北周辺地区「区域4-2」では、総延べ約6万6000㎡のツインタワーが計画されている。品川駅北周辺地区市街地再開発準備組合が主体となり、区域4-2のうち、北側のBエリアに約2万6600㎡の複合施設、南側のCエリアに約3万9900㎡の再開発ビルを建設する。Cエリアは29年度、Bエリアは31年度の完成を予定している。


品川駅北周辺地区第一種市街地再開発事業のイメージ

■品川駅の交通結節機能を強化
 一方、品川駅では27年度以降のリニア中央新幹線の開通に合わせ、JR東海が東海道新幹線側の地下で新駅の建設工事を進めている。京急線品川駅側では、東京都、港区、品川区、京浜急行電鉄が「京浜急行電鉄湘南線(泉岳寺駅~新馬場駅間)連続立体交差事業」を進めており、現在は高架構造の京急線品川駅を地平化し、2面3線の駅を2面4線にして駅機能を増強する。さらに、東京地下鉄が南北線を白金高輪駅から分岐して品川駅まで延伸し、国道15号直下に新駅を整備する計画だ。

 その直上では、国土交通省関東地方整備局東京国道事務所が国道15号の上空に約2haのデッキを設け、「ミチウエ&スクエア&品川」をコンセプトにした次世代型の新たな駅前広場を整備する。品川駅の東西自由通路によってリニア中央新幹線や東海道新幹線、JR線、京急線などの動線を新駅前広場につなぎ、自動運転車両やパーソナルモビリティーなどの次世代型モビリティーの乗降場、高速バス、路線バス、タクシーの乗り場を整備して、国道15号直下に整備する地下鉄新駅などの多様な交通モードを立体的に結節し、国内外の利用者に分かりやすい歩行者動線とする。


品川駅西口地区C-1地区の外観イメージ

■品川駅周辺の大規模開発
 新駅前広場の整備と連続立体交差事業による京急線品川駅の地平化に合わせ、線路直上に位置する「品川駅街区地区」では、JR東日本と京浜急行電鉄が駅直結の利便性と集客性を生かし、敷地を3街区に分け総延べ約37万4300㎡の複合ビルを建設する計画だ。北街区には約16万5000㎡、南街区(南-a)には約20万1000㎡、同(南-b)には約8300㎡のビルを建設し、業務、商業、会議室、文化・交流、情報提供などの機能を集積する。

 一方、国道15号を挟んで新駅前広場と接続する「品川駅西口地区」は、シナガワグース跡地やグランドプリンスホテル新高輪などが立地する約14.7haの地域をAからCの3街区に分け、大型再開発プロジェクトを進めている。南側に立地するA街区の約3.3haでは、京浜急行電鉄が主体となり、ホテル、オフィス、MICEなどで構成する約31万㎡の大規模複合ビルを建設する。 その北側のC地区約2.2haでは、高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発事業で約19万㎡のビルを建設する。A地区は26年度、C地区は27年度の完成を予定している。

 こうした品川駅周辺の大規模開発に連動し、同駅南側の「品川浦周辺地区」でも、旧東海道の魅力を生かしたまちづくりに向けて三つの準備組合による品川浦周辺地区再開発が本格的に動き出した。品川浦を挟んだ南地区の約4haには住環境中心の約24万㎡の施設、北地区の6haにはオフィスや住宅を中心にした約38万㎡の施設、京急線北品川駅と旧東海道を含む西地区の約3.5haには商業を中心にした約15万㎡のビルを計画している。26年度の都市計画決定を目指している。


①品川開発プロジェクト1街区(住宅棟)②同2街区(文化創造棟)③同3街区(複合棟2)④同4街区(複合棟Ⅰ North)⑤同4街区(複合棟Ⅱ South)⑥泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業⑦品川駅北周辺地区第一種市街地再開発事業北街区⑧同南街区⑨高輪三丁目品川駅前地区市街地再開発事業(品川駅西口地区C-1地区)⑩品川駅西口地区A地区⑪品川駅街区地区北地区⑫品川駅街区地区南地区(南-a)⑬品川浦周辺北地区市街地再開発事業⑭同南地区市街地再開発事業⑮同西地区市街地再開発事業



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