
「日本が試されている」。こう締めくくられた当紙連載『復旧の光と影-二つの能登災害』への反響と裏腹に、個人的には「わがこと」という言葉に後ろめたさを感じた◆これまでの取材活動では高ぶる気持ちを抑えきれず、ぶしつけな依頼をし、大切な協力者と疎遠になってしまった。被災者や奮闘する建設産業に寄り添うものだったのか、打算が働いていなかったのか◆自問自答すればするほど、目を背けてきた「ひとごと」に気付かされる。ただ、「反省は絶対必要だが、過去の過ちに固執するのは愚の骨頂」との考えが許されるのであれば、残された選択肢は一つだろう◆復旧・復興は、アップダウンを繰り返しながら軌跡を描く。立ち上がる被災地や自身の未熟さと向き合いつつ、前進する。記者の信念も試されている。