環境省/除去土壌 福島県外最終処分の4案/減容処理コストは最大1.5兆円 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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環境省/除去土壌 福島県外最終処分の4案/減容処理コストは最大1.5兆円

 環境省は7日、東京電力福島第1原発事故の除染で発生した除去土壌などの福島県外最終処分に向けた四つの選択肢案をまとめた。除去土壌の減容技術の組み合わせを踏まえた最終処分量は、減容しない場合だと最大310万m3、減容技術を複数使うと最小5万m3となった。同省は具体的に減容処理のコストは明らかにしていないものの、全ての減容技術を使うと最大で約1兆5000億円と試算される。 減容処理にコストを掛ければ、除去土壌などの最終処分量が少なくなり、一般的に最終処分場の土地取得代や施設整備費、中間貯蔵施設からの運搬費が減る。減容処理をしなければ、広大な最終処分場が必要となるなど、施設整備関連のコストが増える。
 2025年度以降、最終処分場の構造など詳細な検討をして、4案の中から最終処分方法などを固めていく。また、現時点では最終処分の財源が決まっていない。最終処分費の財源をどうするのかも大きな課題だ。
 除去土壌と廃棄物は、中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉の両町)に約1400万m3を保管している。うち4分の3の1㎏当たり8000ベクレル以下の除去土壌などは、公共事業などで再生利用し、残り4分の1の同8000ベクレル超を最終処分場で処理する。
 福島県外最終処分の選択肢は、減容処理しない、湿式通常分級処理、分級処理後の細粒分と分級処理対象外の同8000ベクレル超の土壌を熱処理、熱処理で生じる飛灰を洗浄の4案。最終処分量は、減容処理しないと除去土壌と廃棄物を合わせ210万-310万m3。分級処理で同150万-220万m3となり、熱処理すると全て廃棄物になって30万-50万m3、飛灰洗浄まですれば5万-10万m3にまで減る。処分場面積も30-50haが2-3haにまで小さくできる。
 ただ、処分量を減らすと1㎏当たりの放射能濃度は、減容しない場合の数万ベクレル程度が、飛灰洗浄までして減容すると最大数千万ベクレルまで高くなる。処分場の構造も濃度に応じて安定型相当かコンクリート構造の管理型相当となる。
 処分場コストなどは処分地によって異なるため、処分地が固まっていない段階では算出できない。減容処理コストは条件によって変わるものの、実証事業などから、処理単価は1m3当たり分級処理が約3万円、熱処理が約50万円、飛灰洗浄が約90万円になる。これを元に処分量を重量から体積に換算して試算すると、コストは分級処理が950億-1425億円程度、熱処理が7000億-1兆0500億円程度、飛灰洗浄が2160億-3330億円程度になるとみられ、全減容技術を適用すると、処理コストは最大で1兆4000億-1兆5000億円程度となった。
 政府は、45年3月までに福島県外最終処分を完了させると法律で定めている。今春ごろまでには再生利用や最終処分の基本方針を示し、夏ごろに工程表を策定する。4案は、7日の関係会議で示した。