約70棟の建替え見込む/福岡市天神地区ビッグバン始動から10年 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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約70棟の建替え見込む/福岡市天神地区ビッグバン始動から10年

因幡町通りイメージパース (福岡市提供:このイメージパースは、今後変更になる可能性があります)
 福岡市天神地区の老朽化した民間ビルの建て替えを促す「天神ビッグバン」は、24日に構想始動から10年がたった。2021年9月に完成した天神ビジネスセンターをはじめとする、航空法の高さ制限や容積率の規制緩和を受けた大型ビルの建て替えが進んでいる。10年間で30棟を目標に設定した民間ビルの建て替えは26年12月末までに約70棟の完了を見込む。 同制度は15年2月に構想始動、16年5月に運用開始した。24年12月末までに完成予定のビルが対象となるが、感染症対策に取り組むことで26年12月末まで完成時期を延長できる。また、複数街区にまたがる段階・連鎖的な建て替え計画は個別に期限を判断している。
 対象エリアは天神交差点から半径約500mの区域約80ha。天神ビッグバンでエリア内の都市再生に向けた機運が高まり、エリア内では制度創設前の約1.6倍のスピードで民間ビルの建て替えが進んでいる。
 再開発ビルは魅力あるデザインが特徴で、建築設計集団OMAの重松象平氏が建築デザインを担当した天神ビジネスセンターはピクセル構造のガラスが重なる外観を持つ。24年12月に完成したONE FUKUOKA BLDG・は米国のコーン・ペダーセン・フォックス・アソシエイツ(KPF)が外装デザインを担当し、日本の伝統的な格子柄がモチーフとなっている。
 25年は4月に壁面緑化や常緑樹並木を備えたプロムナードが特徴的な天神ブリッククロス、5月にテナントが自由に使えるバルコニーを設けた天神住友生命FJビジネスセンターが完成する予定だ。
 複数街区にまたがる建て替え計画も着実に進んでいる。天神二丁目南ブロック駅前東西街区は、竹中工務店を東街区の特定業務代行者に特定した。天神一丁目15・16番街区は開発事業コンサルと基本設計を日本設計が担当し、特定業務代行者を募集している。天神北地区の福岡中央郵便局と大型商業施設「イオンショッパーズ福岡」の段階的な建て替えも計画されている。いずれも30年以降の完成を目指しており、都市機能のさらなる向上が期待される。
 担当課の井上了二住宅都市局都心創生部都心創生課長は、「エリア全体で老朽化したビルの建て替えが進み、安心・安全なまちづくりに効果があった。特に規制緩和を受けた大型ビルは高いセキュリティーと耐震性を備えるため、外資系コンサルや台湾関連の銀行などが県内に初進出する後押しになった。さまざまな企業を受け入れる器が生まれ、雇用の創出にもつながっている」と手応えを持つ。
 市は、同制度の認定要件として「都心の森1万本プロジェクト」を23年2月に設定した。都心部のオフィスビルやマンションのベランダ緑化助成制度を25年度に創設する計画で、民有地のさらなる緑化促進を図る。