27日に開かれた中央建設業審議会の第4回労務費の基準に関するワーキンググループ(WG)で、労務費の基準(標準労務費)の実効性確保に向けた取り組みの一つとして、行政(国、都道府県)と民間(建設業団体など)が分担して賃金支払い状況を確認するとした国土交通省の提案に対し、日本建設業連合会と全国建設業協会は既存の建設業団体による対応が困難との認識を示した上で、民間側の確認主体となる第三者機関設置の検討を求めた。建設工事標準請負契約約款を改正してコミットメント条項を追加する国交省提案には、委員から多様な意見が上がった。 WGは、▽契約段階▽支払い段階▽公共工事--の三つに分けて、実効性確保に向けた取り組みを検討することにしている。支払い段階の取り組みを議論した第4回会合で国交省は、労務費と賃金の性質の違いや建設Gメンのマンパワーが限られていることなどから、労務費支払い状況の確認は国が行い、賃金支払い状況の確認は官民で分担することを提案した。
白石一尚日建連人材確保・育成部会長の代理で出席した相良天章日建連賃金・社会保険専門部会座長は、建設Gメンのさらなる体制強化が困難な場合は民間による補完が必要としつつ、「実施団体には適切な権限と体制が必要だが、少なくとも現在ある建設業団体はふさわしくない」と指摘し、「業界団体ではない中立的な機関とした方がいいのではないか」と述べた。駐車違反対応業務を民間委託する道路交通法の仕組みを例に挙げ、「建設Gメンの指導監督事務を適格性のある民間法人に委託できる制度の創設も検討してはどうか」とも話した。
全建の委員である荒木雷太岡山県建設業協会長は「都道府県建設業協会が建設Gメンを補完する役割を担うことは困難。建設Gメンを補完する組織を国交省から外部委託するか、建設業者全体を指導できる第三者機関の設立を検討してほしい」と述べた。岡山建協が2024年12月に運用を始めた「Gメン通報制度」で、会員企業から3件のダンピング(過度な安値受注)情報が寄せられたことも報告。通報したことが明るみに出た場合を恐れて「通報が少ない」とした上で、民間による賃金支払い状況の確認は「建設業協会や同業者が絡むのではなく、別団体で運用する方が良い」と主張した。
日建連と全建から第三者機関の設置を求める意見があった一方、コスト面などから新たな組織の立ち上げには慎重な検討が必要と指摘する声もあった。
WGではこのほか、コミットメント条項に多くの意見が上がった。受注者が労務費や賃金の支払いなどを請負契約の中で注文者に約束する条項で、希望する注文者が導入可能な選択的条項として標準約款に追加することを国交省が提案したもの。発注者・元請け間の契約に含まれていなくても元請け・下請け間、下請け・下請け間の契約に盛り込むことを可能とすることや、コミットメント違反(債務不履行)時のペナルティー(損害賠償、解除など)を規定しない方向性なども、併せて示している。
国交省の提案に対し、「ペナルティーがないと、うそばかりの形骸化した書類がやりとりされることになるのではないか」「民間発注者にとって、受注者にコミットメントをしてもらうことのインセンティブ(動機付け)がないと考えられ、この条項を使うのは難しい」「将来的に基本条項とすることを視野に検討してほしい」「全ての契約に含めなければ、最終的には下請け・下請け間の契約にしわ寄せが起き、下請けに指導が行われてしまうなどの懸念がある」などの意見があった。
「出口」に相当する支払い段階と、前回会合で議論した「入り口」に当たる契約段階の取り組みについて、委員からさまざまな意見が上がったため、WGとして両取り組みの議論を継続することを決めた。非公開で後日会合を開く。
白石一尚日建連人材確保・育成部会長の代理で出席した相良天章日建連賃金・社会保険専門部会座長は、建設Gメンのさらなる体制強化が困難な場合は民間による補完が必要としつつ、「実施団体には適切な権限と体制が必要だが、少なくとも現在ある建設業団体はふさわしくない」と指摘し、「業界団体ではない中立的な機関とした方がいいのではないか」と述べた。駐車違反対応業務を民間委託する道路交通法の仕組みを例に挙げ、「建設Gメンの指導監督事務を適格性のある民間法人に委託できる制度の創設も検討してはどうか」とも話した。
全建の委員である荒木雷太岡山県建設業協会長は「都道府県建設業協会が建設Gメンを補完する役割を担うことは困難。建設Gメンを補完する組織を国交省から外部委託するか、建設業者全体を指導できる第三者機関の設立を検討してほしい」と述べた。岡山建協が2024年12月に運用を始めた「Gメン通報制度」で、会員企業から3件のダンピング(過度な安値受注)情報が寄せられたことも報告。通報したことが明るみに出た場合を恐れて「通報が少ない」とした上で、民間による賃金支払い状況の確認は「建設業協会や同業者が絡むのではなく、別団体で運用する方が良い」と主張した。
日建連と全建から第三者機関の設置を求める意見があった一方、コスト面などから新たな組織の立ち上げには慎重な検討が必要と指摘する声もあった。
WGではこのほか、コミットメント条項に多くの意見が上がった。受注者が労務費や賃金の支払いなどを請負契約の中で注文者に約束する条項で、希望する注文者が導入可能な選択的条項として標準約款に追加することを国交省が提案したもの。発注者・元請け間の契約に含まれていなくても元請け・下請け間、下請け・下請け間の契約に盛り込むことを可能とすることや、コミットメント違反(債務不履行)時のペナルティー(損害賠償、解除など)を規定しない方向性なども、併せて示している。
国交省の提案に対し、「ペナルティーがないと、うそばかりの形骸化した書類がやりとりされることになるのではないか」「民間発注者にとって、受注者にコミットメントをしてもらうことのインセンティブ(動機付け)がないと考えられ、この条項を使うのは難しい」「将来的に基本条項とすることを視野に検討してほしい」「全ての契約に含めなければ、最終的には下請け・下請け間の契約にしわ寄せが起き、下請けに指導が行われてしまうなどの懸念がある」などの意見があった。
「出口」に相当する支払い段階と、前回会合で議論した「入り口」に当たる契約段階の取り組みについて、委員からさまざまな意見が上がったため、WGとして両取り組みの議論を継続することを決めた。非公開で後日会合を開く。