
「広域化、そう簡単にいくのか」。ある講演会で聞いた質問が頭に残っている。インフラ維持を複数の自治体で担う広域連携の動きが加速しているが、実現は簡単ではない◆質問者は「隣接する市町村同士が必ずしも良好な関係とは限らない」と続けた。都道府県でも二重構造が問題になる。自治体の課題に対する温度感も同じとは限らない◆人口減少が進む中、一つの自治体だけではインフラを支えきれない時代が来ている。災害時の相互支援も含め「お隣さん」との協力は今後の生存戦略になるだろう◆住民レベルの防災では「まずは顔の見える関係から」といわれる。いざという時の助け合いには、日頃の信頼関係が欠かせない。自治体間の連携も同じだ。制度や仕組みの前に「一緒にやろう」と思える関係を築けるかが問われている。