【拡大続けるトップ2社/シェア2社で7割、4社8割】
建設企業の海外受注が好調を維持している。海外建設協会(佐々木正人会長、会員52社)が6月6日に公表した2024年度の海外受注実績は、受注総額が前年度比12.6%増の2兆5808億円と2年連続で過去最高を記録した。受注額が大きなアジア、北米を中心に世界各地域の成長を取り込んだ格好だが、同時に海外受注の増加を続ける受注額トップ2社のシェアが高水準を維持し続けていることも大きな特徴だ。本邦法人受注頼み一辺倒から近年は、海外受注の受注構造が大きく変化していることも好調な海外受注額を下支えしている。 海建協の24年度海外建設受注実績2兆5808億円に対し、大林組の24年度連結受注の土木・建築合わせた建設事業海外分は、前年度比60.3%増の1兆1142億円と海外受注だけで1兆円を突破した。国内建築・土木連結受注額は2兆0879億円で、国内建設事業の半分まで海外受注が伸長した格好だ。過去10年間でこれまでの大林組の海外受注最高額は23年度の6949億円だった。
また、鹿島の24年度連結海外受注額は7637億円。大林組を合わせた2社の連結海外受注合計は1兆8779億円で、海建協の海外受注全体額の72.7%を占めた。海外受注上位2社の高いシェアは、昨年の実績を見ても明らかだ。具体的には、23年度海外建設受注実績2兆2929億円に対し、大林組6949億円、鹿島9914億円の計1兆6863億円で2社の全体受注額に占める割合は73.5%だった。
高いシェアを維持し続けるこの2社には、「海外・現地法人が海外受注の大きな柱」という共通項もある。M&A(企業の合併・買収)で連結にした現地企業や地域ごとに設立した海外法人が海外受注の大半を担っている。
これまで日本の建設企業の海外受注は、国内の海外事業部門が中心となって海外工事を受注する「本邦法人受注」が現地法人による受注を大幅に上回る時期が続いた。この本邦法人頼みの転機となったのは、現地法人受注額が本邦法人受注額を上回った12年度だった。
12年度以降、8000億円台から4000億円台の間を毎年変動する本邦法人受注に対し、現地法人受注額は20年のコロナ危機を除けば、ほぼ右肩上がりの上昇を続けた。海外受注でもう一つの転機だったのが14年度だ。
15年5月の会見。海建協の白石達会長(当時)は、14年度実績で最大の受注先が現地企業となったことと、これまで海外受注けん引役だった本邦法人受注額7799億円に対して海外法人受注額が1兆0355億円と大きく上回ったことを踏まえ、「海外受注の構造的変化は明らか。各企業の長期経営ビジョンで海外受注は、収益構造拡大の重要な柱になっている」と、海外受注の構造変化を指摘していた。
24年度の海外受注額は、1337億円(連結)の清水建設と、1181億円(個別)の五洋建設の2社を加えると、4社で2兆1297億円となり、全体に占める割合は82.5%とシェアは8割を超えた。
日本の建設企業にとってこれまで海外受注は、日本国内の建築・土木、不動産事業など建設事業の補完的位置付けの意識が強かった。その結果、「国内の建設市場が縮小すれば海外に目が向くが、国内市場が活況となれば海外は忘れられてしまう」傾向が続いてきた。
この傾向が大きく変わり始めたことについて明確に言及したのが、15年5月海建協会長の会見だった。それから10年。シェア上位2社の連結受注合計額は、15年度の8981億円から24年度の1兆8779億円と2倍強まで拡大した。M&A、海外法人強化など取り組みは、個社にとってグローバル展開が確実に進んだだけでなく、結果的に日本企業の海外受注額の増加を下支えしている。
建設企業の海外受注が好調を維持している。海外建設協会(佐々木正人会長、会員52社)が6月6日に公表した2024年度の海外受注実績は、受注総額が前年度比12.6%増の2兆5808億円と2年連続で過去最高を記録した。受注額が大きなアジア、北米を中心に世界各地域の成長を取り込んだ格好だが、同時に海外受注の増加を続ける受注額トップ2社のシェアが高水準を維持し続けていることも大きな特徴だ。本邦法人受注頼み一辺倒から近年は、海外受注の受注構造が大きく変化していることも好調な海外受注額を下支えしている。 海建協の24年度海外建設受注実績2兆5808億円に対し、大林組の24年度連結受注の土木・建築合わせた建設事業海外分は、前年度比60.3%増の1兆1142億円と海外受注だけで1兆円を突破した。国内建築・土木連結受注額は2兆0879億円で、国内建設事業の半分まで海外受注が伸長した格好だ。過去10年間でこれまでの大林組の海外受注最高額は23年度の6949億円だった。
また、鹿島の24年度連結海外受注額は7637億円。大林組を合わせた2社の連結海外受注合計は1兆8779億円で、海建協の海外受注全体額の72.7%を占めた。海外受注上位2社の高いシェアは、昨年の実績を見ても明らかだ。具体的には、23年度海外建設受注実績2兆2929億円に対し、大林組6949億円、鹿島9914億円の計1兆6863億円で2社の全体受注額に占める割合は73.5%だった。
高いシェアを維持し続けるこの2社には、「海外・現地法人が海外受注の大きな柱」という共通項もある。M&A(企業の合併・買収)で連結にした現地企業や地域ごとに設立した海外法人が海外受注の大半を担っている。
これまで日本の建設企業の海外受注は、国内の海外事業部門が中心となって海外工事を受注する「本邦法人受注」が現地法人による受注を大幅に上回る時期が続いた。この本邦法人頼みの転機となったのは、現地法人受注額が本邦法人受注額を上回った12年度だった。
12年度以降、8000億円台から4000億円台の間を毎年変動する本邦法人受注に対し、現地法人受注額は20年のコロナ危機を除けば、ほぼ右肩上がりの上昇を続けた。海外受注でもう一つの転機だったのが14年度だ。
15年5月の会見。海建協の白石達会長(当時)は、14年度実績で最大の受注先が現地企業となったことと、これまで海外受注けん引役だった本邦法人受注額7799億円に対して海外法人受注額が1兆0355億円と大きく上回ったことを踏まえ、「海外受注の構造的変化は明らか。各企業の長期経営ビジョンで海外受注は、収益構造拡大の重要な柱になっている」と、海外受注の構造変化を指摘していた。
24年度の海外受注額は、1337億円(連結)の清水建設と、1181億円(個別)の五洋建設の2社を加えると、4社で2兆1297億円となり、全体に占める割合は82.5%とシェアは8割を超えた。
日本の建設企業にとってこれまで海外受注は、日本国内の建築・土木、不動産事業など建設事業の補完的位置付けの意識が強かった。その結果、「国内の建設市場が縮小すれば海外に目が向くが、国内市場が活況となれば海外は忘れられてしまう」傾向が続いてきた。
この傾向が大きく変わり始めたことについて明確に言及したのが、15年5月海建協会長の会見だった。それから10年。シェア上位2社の連結受注合計額は、15年度の8981億円から24年度の1兆8779億円と2倍強まで拡大した。M&A、海外法人強化など取り組みは、個社にとってグローバル展開が確実に進んだだけでなく、結果的に日本企業の海外受注額の増加を下支えしている。