
自宅からほど近い駅前の再開発プロジェクトが工事の最盛期を迎えている。パズルのピースがはまるように徐々に外観が出来上がり、日常の風景に溶け込んでいく様を見るのが最近の日課だ◆朝の通勤時に建物を見上げると現場は既に動いている。むき出しの上層部で働く職人たち、頻繁に出入りする工事車両が見える。夕方になってもそれは変わらない◆その忙しさはミヒャエル・エンデの小説『モモ』を思い起こさせる。エンデは、灰色の男たちが人間から時間を奪う様子を描いて現代社会を風刺し「時間を感じるために心がある」と説いた◆働き方改革の実現にはあらゆる発注者の協力が不可欠だ。週休2日を基本とした余裕ある工期設定、作業効率が落ちる猛暑日を休工にするといった柔軟な働き方に配慮してもらう必要がある。