【使命抱き社会に貢献】
全国建行協の新理事長に塩田英治氏が6月27日付で就任した。2026年1月1日から施行される改正行政書士法により、従来の「目的」規定が「使命」規定に改められ、担う役割も大きくなる中、「国土交通省の政策に対する提言や社会的な活動に積極的に取り組んでいきたい」と力を込める。建設業の許認可に関するエキスパート集団のかじを取る塩田理事長に組織運営の方針などを聞いた。 --就任の抱負を
「建行協の設立から33年を迎えた。これまでと同様に行政書士ならではの視点で建設業が置かれている実態を把握し、国交省の政策に対して意見を集約・提言できる組織であり続けたい」
「一方で、会員の世代交代が進んでいる。ここをチャンスとみて、変えるべき部分は思い切って改革していきたい。一番は組織運営の在り方だ。これまでは全国組織でありながら運営に関与する会員が限定的だった。今後は幅広くアイデアを募り、より多くの会員に参画してもらえるような仕組みに変えていきたい」
--改正行政書士法について
「他の士業法には『使命』規定があったが、われわれだけ『目的』規定となっていた。法改正により、社会のために使命を抱いて活動していることを明言できる。許認可申請の業務だけでなく、成年後見制度の手伝いなど、社会的な活動に積極的に取り組んでいきたい」
「改正法では、行政手続きのデジタル化に対応する行政書士の役割も強調された。われわれの顧客である建設業にはデジタル弱者が多いと感じている。『デジタルと言えば行政書士』という気持ちをもって、デジタル社会に貢献していきたい」
--行政書士から見た建設業界の現状は
「国交省の建設産業政策会議が『建設産業政策2017+10』をまとめてから間もなく10年になろうとしているが、建設業界は依然として多くの課題を抱えている。例えば人の問題だ。20年ごろから許認可申請の変更点がいくつかあり、特に経営業務管理責任者(経管)や専任技術者などの条件が緩和された。有効な施策だが、情報が広がっていないためか、あまり使われていないのが実態だ。経管を確保できずに廃業した企業も多い」
「M&A(企業の合併・買収)も増えている。M&A自体に問題はないが、建設業許可の申請を後回しにして、結果的に認可されなかった企業もある。行政書士がいないM&Aコンサルタントが関与しているケースで多い。一般論として情報公開できないことは理解できるが、まずはわれわれに相談してほしい」
--今後の展望は
「建設業界は今後、インフラの再構築に関わる仕事が多くなると見ている。その際、今持っている建設業許可だけでは足りないものも出てくる可能性がある。基準が公表されたらすぐに勉強し、サポートしていく。引き続き行政と建設業をつなぐパイプ役を担っていきたい」
* *
(しおた・ひではる)1988年3月中央大法学部法律学科卒。司法書士事務所勤務を経て、行政書士として独立。2023年11月から現職の行政書士法人AZ東京事務所代表社員。東京医療福祉専門職大学特任教授なども務める。趣味はボウリング、ライブ観戦、舞台鑑賞。茨城県出身。64年5月21日生まれ、61歳。
◆記者の目
モットーの「参加と発信」は、まさに団体トップにふさわしい。約200人の会員にも積極的な活動参加を呼び掛ける。30年以上にわたる行政書士のキャリアの中で、許認可を諦めかけていた建設企業を何社も救った。「過去の経験値を掘り出し、許可にこぎ着けたときの爽快感」が仕事の醍醐味(だいごみ)という。改正法の施行によって行政書士の役割はさらに重みを増すが、これまでも、これからも、自らの使命を全うする姿勢は変わらない。
全国建行協の新理事長に塩田英治氏が6月27日付で就任した。2026年1月1日から施行される改正行政書士法により、従来の「目的」規定が「使命」規定に改められ、担う役割も大きくなる中、「国土交通省の政策に対する提言や社会的な活動に積極的に取り組んでいきたい」と力を込める。建設業の許認可に関するエキスパート集団のかじを取る塩田理事長に組織運営の方針などを聞いた。 --就任の抱負を
「建行協の設立から33年を迎えた。これまでと同様に行政書士ならではの視点で建設業が置かれている実態を把握し、国交省の政策に対して意見を集約・提言できる組織であり続けたい」
「一方で、会員の世代交代が進んでいる。ここをチャンスとみて、変えるべき部分は思い切って改革していきたい。一番は組織運営の在り方だ。これまでは全国組織でありながら運営に関与する会員が限定的だった。今後は幅広くアイデアを募り、より多くの会員に参画してもらえるような仕組みに変えていきたい」
--改正行政書士法について
「他の士業法には『使命』規定があったが、われわれだけ『目的』規定となっていた。法改正により、社会のために使命を抱いて活動していることを明言できる。許認可申請の業務だけでなく、成年後見制度の手伝いなど、社会的な活動に積極的に取り組んでいきたい」
「改正法では、行政手続きのデジタル化に対応する行政書士の役割も強調された。われわれの顧客である建設業にはデジタル弱者が多いと感じている。『デジタルと言えば行政書士』という気持ちをもって、デジタル社会に貢献していきたい」
--行政書士から見た建設業界の現状は
「国交省の建設産業政策会議が『建設産業政策2017+10』をまとめてから間もなく10年になろうとしているが、建設業界は依然として多くの課題を抱えている。例えば人の問題だ。20年ごろから許認可申請の変更点がいくつかあり、特に経営業務管理責任者(経管)や専任技術者などの条件が緩和された。有効な施策だが、情報が広がっていないためか、あまり使われていないのが実態だ。経管を確保できずに廃業した企業も多い」
「M&A(企業の合併・買収)も増えている。M&A自体に問題はないが、建設業許可の申請を後回しにして、結果的に認可されなかった企業もある。行政書士がいないM&Aコンサルタントが関与しているケースで多い。一般論として情報公開できないことは理解できるが、まずはわれわれに相談してほしい」
--今後の展望は
「建設業界は今後、インフラの再構築に関わる仕事が多くなると見ている。その際、今持っている建設業許可だけでは足りないものも出てくる可能性がある。基準が公表されたらすぐに勉強し、サポートしていく。引き続き行政と建設業をつなぐパイプ役を担っていきたい」
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(しおた・ひではる)1988年3月中央大法学部法律学科卒。司法書士事務所勤務を経て、行政書士として独立。2023年11月から現職の行政書士法人AZ東京事務所代表社員。東京医療福祉専門職大学特任教授なども務める。趣味はボウリング、ライブ観戦、舞台鑑賞。茨城県出身。64年5月21日生まれ、61歳。
◆記者の目
モットーの「参加と発信」は、まさに団体トップにふさわしい。約200人の会員にも積極的な活動参加を呼び掛ける。30年以上にわたる行政書士のキャリアの中で、許認可を諦めかけていた建設企業を何社も救った。「過去の経験値を掘り出し、許可にこぎ着けたときの爽快感」が仕事の醍醐味(だいごみ)という。改正法の施行によって行政書士の役割はさらに重みを増すが、これまでも、これからも、自らの使命を全うする姿勢は変わらない。