東洋熱工業/技術研究開発センター完成/「熱を操る空調」探究 | 建設通信新聞Digital

8月24日 日曜日

企業

東洋熱工業/技術研究開発センター完成/「熱を操る空調」探究

技術研究所とエアトロニック事業部を集約した技術研究開発センターの外観
蓄熱槽を紹介する柳原技術研究所長
 東洋熱工業が、東京都葛飾区に建設していた技術研究開発センターが完成し、1日に供用を始めた。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて太陽由来の自然エネルギー活用に着目し、スマートビルシステム、自然エネルギーのエネルギーロスを最小化する蓄熱制御など、「熱を操る空調」の実現に必要な要素技術の確立に取り組む。
 千葉県市川市に立地していた研究開発部門の技術研究所と、東京都江東区にあった製造部門のエアトロニック事業部を集約した。
 「熱を操る空調」の実証・研究施設と位置付け、高効率空冷ヒートポンプチラー、太陽熱集熱器、地中熱ヒートポンプ、縦型蓄熱槽、デシカント外調機、水・空気直接接触式外調機などの設備を整備している。
 技研は、自社開発の熱源トータル最適制御システム「E-SCAT」とAI(人工知能)を組み合わせた「AI-SCAT」を活用し、スマートビル化を推進することで、熱源の最適化に加えて建物全体の空気の流れ、温度・湿度・気流といった環境要素を総合的に制御する「熱を操る空調」の実現を目指す。大学などとの産学連携スペースも設けている。
 半導体エアトロニック事業部では、半導体パッケージ基板の製造工程で要求される国際標準化機構(ISO)クラス5に準拠したクリーンルームを新設した。半導体工場向けなど、空気や水を利用した製品の開発・改良を進める。
 「施工パーク」もコンセプトとする。機器・配管・ダクトを露出させる天井レス構造にするとともに、空気の流れを視覚的に捉えられるようにダクトの系統ごとに色分けするなど、施工のプロセスや工夫を可視化した。新人教育、OJT(職場内訓練)、インターンシップ、施工前確認などにも施設を活用する。
 柳原茂技術研究所長は「技術研究開発センターで実証・研究を進め、『熱を操る空調』を早期に実現する」と力を込める。
 施設規模はS造地上3階建て延べ3198㎡。設計は、機械設備を鹿島と東洋熱工業のJV、その他を鹿島が担当した。施工は、建築、構造、電気設備を鹿島、機械設備を東洋熱工業が手掛けている。