【ロボットハンド・手作業のように把持/掘削AI・地中障害物を検知・除去】
筑波大の永谷圭司教授がプロジェクトマネージャーを務める「多様な環境に適応しインフラ構築を革新する協働AIロボット(CAFEプロジェクト)」の一員である筑波大、熊谷組、奈良先端科学技術大学院大学の3者は、建設ロボットに搭載するロボットハンドと、仮想物理空間で訓練した建設ロボットの自動掘削AI(人工知能)の公開動作実験を実施した。ロボットハンド、AIはともに河道閉塞(へいそく)に対応するために開発を進めている。
熊谷組とスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ)は、最先端のロボットハンド技術を建設機械に統合した災害対応システムの構築に取り組んでいる。ETHZの研究グループが開発したロボットハンドは、災害現場のがれきなどさまざまな対象物の把持が可能だ。
7日に茨城県つくば市の熊谷組技術研究所で実施した実験で使ったロボットハンドは、4本の指をワイヤで駆動させる構造を持ち、対象物の形状に合わせて包み込むように柔らかく把持できる。
熊谷組が開発を進める、災害時にヘリコプターで運搬可能な3tクラスの遠隔操作バックホーに、手のひらの約3倍の大きさのロボットハンドを取り付け、バケツや木の枝、サニーホース、電源ケーブル、土のう袋をつかんだ。機械は、バックホーの遠隔操作、ソフトロボットハンドの操作者の2人で操作した。
実験を終え、熊谷組の北原成郎土木事業本部土木技術統括部土木DX推進部技術部長は「ボルトやナットの締結といった人間の手作業に近い動作をソフトロボットアームに期待する。広く使ってもらえるようにしたい」と話した。ETHZの利光泰徳氏は「建機へのワンタッチ装着を生かした無人化施工や危険地帯での遠隔操作が可能になる。建機とハンドをより直感的に操作できるインターフェースの開発も必要だ」と見据えた。永谷教授も「同技術をさまざまなところに応用していきたい」と意欲を示した。
一方、自動掘削AIは、奈良先端科学技術大学院大の研究グループが開発した。河道閉塞現場には、倒木などが埋まっており、掘削動作を妨げる可能性がある。自然災害現場などで活躍する建設ロボットに自動掘削機能が搭載されれば、応急復旧の効率が飛躍的に高まることが期待できる。
同市にある土木研究所のDX(デジタルトランスフォーメーション)フィールドで実施した公開動作実験では、倒木に見立てたパイプを、自動掘削AIで制御された油圧ショベルで除去するデモンストレーションを行った。自動掘削とともに、掘削の妨げになる地中障害物の検知・除去の動作を確かめた。奈良先端科学技術大学院大の松原崇充教授は「自動掘削AIを開発しながら、さまざまな視点から社会実装を進めたい」とし、同研究室で開発を進めるAI技術を建設業界にも積極的にアピールしていく。
CAFEプロジェクトは、内閣府・科学技術振興機構が推進するムーンショット型研究開発事業・目標3「自ら学習・行動し人と共生するAIロボット」プロジェクトの一環で、自然災害対応に役立つ協働型フィールドロボットの開発を目指して活動している。
筑波大の永谷圭司教授がプロジェクトマネージャーを務める「多様な環境に適応しインフラ構築を革新する協働AIロボット(CAFEプロジェクト)」の一員である筑波大、熊谷組、奈良先端科学技術大学院大学の3者は、建設ロボットに搭載するロボットハンドと、仮想物理空間で訓練した建設ロボットの自動掘削AI(人工知能)の公開動作実験を実施した。ロボットハンド、AIはともに河道閉塞(へいそく)に対応するために開発を進めている。
熊谷組とスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHZ)は、最先端のロボットハンド技術を建設機械に統合した災害対応システムの構築に取り組んでいる。ETHZの研究グループが開発したロボットハンドは、災害現場のがれきなどさまざまな対象物の把持が可能だ。
7日に茨城県つくば市の熊谷組技術研究所で実施した実験で使ったロボットハンドは、4本の指をワイヤで駆動させる構造を持ち、対象物の形状に合わせて包み込むように柔らかく把持できる。
熊谷組が開発を進める、災害時にヘリコプターで運搬可能な3tクラスの遠隔操作バックホーに、手のひらの約3倍の大きさのロボットハンドを取り付け、バケツや木の枝、サニーホース、電源ケーブル、土のう袋をつかんだ。機械は、バックホーの遠隔操作、ソフトロボットハンドの操作者の2人で操作した。
実験を終え、熊谷組の北原成郎土木事業本部土木技術統括部土木DX推進部技術部長は「ボルトやナットの締結といった人間の手作業に近い動作をソフトロボットアームに期待する。広く使ってもらえるようにしたい」と話した。ETHZの利光泰徳氏は「建機へのワンタッチ装着を生かした無人化施工や危険地帯での遠隔操作が可能になる。建機とハンドをより直感的に操作できるインターフェースの開発も必要だ」と見据えた。永谷教授も「同技術をさまざまなところに応用していきたい」と意欲を示した。
一方、自動掘削AIは、奈良先端科学技術大学院大の研究グループが開発した。河道閉塞現場には、倒木などが埋まっており、掘削動作を妨げる可能性がある。自然災害現場などで活躍する建設ロボットに自動掘削機能が搭載されれば、応急復旧の効率が飛躍的に高まることが期待できる。
同市にある土木研究所のDX(デジタルトランスフォーメーション)フィールドで実施した公開動作実験では、倒木に見立てたパイプを、自動掘削AIで制御された油圧ショベルで除去するデモンストレーションを行った。自動掘削とともに、掘削の妨げになる地中障害物の検知・除去の動作を確かめた。奈良先端科学技術大学院大の松原崇充教授は「自動掘削AIを開発しながら、さまざまな視点から社会実装を進めたい」とし、同研究室で開発を進めるAI技術を建設業界にも積極的にアピールしていく。
CAFEプロジェクトは、内閣府・科学技術振興機構が推進するムーンショット型研究開発事業・目標3「自ら学習・行動し人と共生するAIロボット」プロジェクトの一環で、自然災害対応に役立つ協働型フィールドロボットの開発を目指して活動している。