重要文化財「仁風閣」の素屋根架設に着手/保存修理が本格化/清水建設 | 建設通信新聞Digital

8月29日 金曜日

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重要文化財「仁風閣」の素屋根架設に着手/保存修理が本格化/清水建設

素屋根架設
床板解体
 清水建設は、1月から保存修理工事を進めている鳥取市にある国指定重要文化財「仁風閣」で、建屋を覆う素屋根の架設工事に着手した。工事の本格化に向けた準備で、10月末までに建物全体を素屋根で覆う予定だ。外装の水平ラインを強調した装飾に代表される幾何学的な美しさを持つ仁風閣は、修復を経て、2027年6月に新たな姿を披露する予定だ。
 仁風閣は、1907年に旧鳥取藩主・池田侯爵別邸として鳥取城跡に建てられ、当時の皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)の行啓時宿泊施設に提供されたルネサンス様式を基調とした建物となる。片山東熊が設計を手掛けた。名称は、行啓に同行した東郷平八郎が命名したとされている。
 73年に仁風閣が国の重要文化財に指定されたことをきっかけに、74-76年にかけて昭和の大規模保存修理が行われたが、築年数に伴う劣化が著しくなったことから、鳥取市が20年に建物の状況を調査。木部の腐朽による屋根や外壁からの深刻な雨漏り、レンガ煙突の補強鉄骨の発錆(はっせい)・腐食が確認された。
 修理が不可欠な状況と判断され、21年に保存修理が決定し、24年12月の入札を経て、昭和の大規模保存修理も手掛けた同社が工事を受注した。工事では、床下部分の構造補強や、屋根のふき替え、傷んだ木部の補修・取り換え、壁・天井紙の張り替え、煙突の更新などを実施する。
 建物を構成する部材の再利用が前提であるため、工事中、部材を傷つけないように慎重に解体し、腐朽が進み、再利用できない部分に限定して新材に置き換えていく。
 また、部材に残るくぎや加工の痕跡を調査し、その部材が新築時からあるものか、後世に取り換えられたものなのかを診断、記録することも工事のポイントになる。
 素屋根の大きさは、間口27m、奥行き34m、高さ22m。現在、素屋根の架設工事と並行して1階の床板を取り外しており、その後、床下に構造補強材を取り付ける。
 工事名称は「重要文化財仁風閣保存修理工事」。発注者は鳥取市。規模は木造2階建て延べ1073㎡。設計・監理は文化財建造物保存技術協会が担当する。工事場所は鳥取市東町2-121。27年9月の完成を目指す。