クローズアップ・環境共生体現する学び舎へ/武庫川女子大 | 建設通信新聞Digital

9月19日 金曜日

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クローズアップ・環境共生体現する学び舎へ/武庫川女子大

プロジェクト棟の外観
プロジェクト棟の内観
【設計=東畑建築事務所/施工=大林ファシリティーズ】
 武庫川女子大学の浜甲子園キャンパス(兵庫県西宮市)で、2025年4月に新設された環境共生学部の新たな学び舎「プロジェクト棟」が完成した。設計・監理は東畑建築事務所、施工は大林ファシリティーズが担当した。【プロジェクト棟が完成】
 同施設は学生がフィールドワークで発見した課題について、環境共生というテーマを主体的に考え、共創を促す学びの場を目指した。規模は木造2階建て延べ988.26㎡。学生の成果発表の場となる2層吹き抜けのラウンジを中心に、講義・グループワーク・製作などで利用する4室のプロジェクトルームで構成する。
 建物は近隣住宅に配慮して高さを抑えつつ、2.73m角平面の小さなハコを組み合わせたコンパクトなボリュームとしている。木現しの空間とし、テラスとの一体的な利用により、屋内外に連続した学生の活動が重なり合うことを意図した。プロジェクトルームはラウンジに面してガラスの間仕切りとし、互いの活動が見え隠れし、共創を活性化させる。
 建物を取り囲むように、既存樹木と連続させながら、自然の循環を身近に感じられるランドスケープを計画した。海・山や地域の特性に配慮した植栽や、雨を自然浸透させ、石の表情を感じる外構など、自然の循環の美しさに触れることを目指した。また、石油由来の素材を最小限とし、木材や環境配慮素材(兵庫県産材、高炉セメントB種コンクリート、電炉材鉄骨階段など)を多く活用しており、これらは生きた教材として学生の学びになることを期待している。
 工事中には学生参加型のワークショップを複数回開き、甲子園浜で拾った海洋ごみを再生したプラスチック板のサインを設置するなど、学生・発注者・設計者・施工者が一体となることで、環境共生学部の新たな学びの場を実現させた。
 大林ファシリティーズの担当者は「環境に優しい建築への挑戦は、持続可能な未来への大きな一歩となった」とコメントしている。