【27年12月の改正目指す】
文部科学省は6日、木造校舎の構造設計標準(JIS A 3301)の改正内容を固めた。自然採光を利用するため、ハイサイドライト(張弦トラス)を計画できるようにするとともに、快適で健康的な温熱環境確保とNearly ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の達成に向け、屋上に太陽光発電設備が設置可能な構造計画にする。また、高性能のCLT(直交集成板)耐力壁などを新たに設定し、空間の自由度を確保するなど、計7項目を改正の柱とした。2027年12月の改正を目指す。
文科省が設けた学識者や設計事務所などで構成する有識者検討会と作業部会が6日にまとめた報告書に、木造校舎のJIS規格改正の在り方を示した。新しい時代の学校施設の在り方や建築基準関係法令の改正、技術開発の進展など木造建築を取り巻く現状と課題に対応する。
報告書によると、近年の公立の小中学校・特別支援学校施設の新設・建て替えでの木造校舎の割合は15-20%弱の状況が続いている。これは、大規模な木造建築物を企画・計画・設計できる技術者が少ないことなどが背景にある。このため、木造校舎の建設に取り組みやすい環境を整え、木造ならではの魅力ある空間の実現に向け、JISを改正する。
改正内容は、張弦トラス計画、屋上太陽光発電設備設置、CLT耐力壁の3項目に、「金物工法」などを利用した合理的な構造でコスト縮減や工期短縮に配慮、耐久性や維持管理の容易性に配慮した材料を使い長寿命化、現行JISにはない避難や維持管理、日射遮蔽(しゃへい)に有効なバルコニーを設置、上階の床衝撃音の低減対策を講じた床計画の4項目を加えた計7項目。
改正JISで示す校舎のプランは現行と同じ片廊下型のAタイプ、廊下と一体となったオープンスペースを持つBタイプ、中廊下型のCタイプ、大部屋型のDタイプの計4タイプ。適用範囲は、平屋建てと2階建ての木造校舎で、1棟当たりの延べ床面積は2000㎡未満。改正によって、軒高9m以下の規定は撤廃する。最高高さ13m以下の規定は、1階の階高や耐力壁などを勘案して、16m以下への拡大を見込む。
また、2階建ての1階の階高は、採光・換気や設備計画などを考慮するため、現行の3650mm以下から3800mm以下程度に拡大する。中廊下型は発注者や設計者が利用しやすいように、梁間方向と桁行き方向の寸法に幅を持たせ、設計の自由度を確保する。加えて、中廊下型の廊下に幅の広いプラン新設、1ユニット(教室や教室+廊下)の寸法をより広いものに設定などの改正にも取り組む。
文科省は今後、11月には改正するJIS原案作成団体となる予定の日本建築学会に原案作成を依頼する。学会は学会内に委員会を設け、26年1月から作業を進める。改正原案の作成期間は26年8月までの見込み。26年9月から27年1月にかけて日本規格協会(JSA)によるJIS原案の校正・調整を経て、27年2月にも文科省が日本産業標準調査会(JISC)に審議を依頼する。JISCは改正原案を審査し、27年11月に文科省に対して審議結果を答申。27年12月末までに改正JISを公示し、適用を始める予定。
また、文科省は報告書を基に、木造校舎の計画・設計に関する「技術的資料」を作成する。JISによる設計のための補足資料となる。JISを使った木造校舎の建築計画、構造設計の例や、各構造要素の許容耐力などの内容や留意事項などを示す。改正JISの公示と同時期に技術的資料を策定する。
文部科学省は6日、木造校舎の構造設計標準(JIS A 3301)の改正内容を固めた。自然採光を利用するため、ハイサイドライト(張弦トラス)を計画できるようにするとともに、快適で健康的な温熱環境確保とNearly ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の達成に向け、屋上に太陽光発電設備が設置可能な構造計画にする。また、高性能のCLT(直交集成板)耐力壁などを新たに設定し、空間の自由度を確保するなど、計7項目を改正の柱とした。2027年12月の改正を目指す。
文科省が設けた学識者や設計事務所などで構成する有識者検討会と作業部会が6日にまとめた報告書に、木造校舎のJIS規格改正の在り方を示した。新しい時代の学校施設の在り方や建築基準関係法令の改正、技術開発の進展など木造建築を取り巻く現状と課題に対応する。
報告書によると、近年の公立の小中学校・特別支援学校施設の新設・建て替えでの木造校舎の割合は15-20%弱の状況が続いている。これは、大規模な木造建築物を企画・計画・設計できる技術者が少ないことなどが背景にある。このため、木造校舎の建設に取り組みやすい環境を整え、木造ならではの魅力ある空間の実現に向け、JISを改正する。
改正内容は、張弦トラス計画、屋上太陽光発電設備設置、CLT耐力壁の3項目に、「金物工法」などを利用した合理的な構造でコスト縮減や工期短縮に配慮、耐久性や維持管理の容易性に配慮した材料を使い長寿命化、現行JISにはない避難や維持管理、日射遮蔽(しゃへい)に有効なバルコニーを設置、上階の床衝撃音の低減対策を講じた床計画の4項目を加えた計7項目。
改正JISで示す校舎のプランは現行と同じ片廊下型のAタイプ、廊下と一体となったオープンスペースを持つBタイプ、中廊下型のCタイプ、大部屋型のDタイプの計4タイプ。適用範囲は、平屋建てと2階建ての木造校舎で、1棟当たりの延べ床面積は2000㎡未満。改正によって、軒高9m以下の規定は撤廃する。最高高さ13m以下の規定は、1階の階高や耐力壁などを勘案して、16m以下への拡大を見込む。
また、2階建ての1階の階高は、採光・換気や設備計画などを考慮するため、現行の3650mm以下から3800mm以下程度に拡大する。中廊下型は発注者や設計者が利用しやすいように、梁間方向と桁行き方向の寸法に幅を持たせ、設計の自由度を確保する。加えて、中廊下型の廊下に幅の広いプラン新設、1ユニット(教室や教室+廊下)の寸法をより広いものに設定などの改正にも取り組む。
文科省は今後、11月には改正するJIS原案作成団体となる予定の日本建築学会に原案作成を依頼する。学会は学会内に委員会を設け、26年1月から作業を進める。改正原案の作成期間は26年8月までの見込み。26年9月から27年1月にかけて日本規格協会(JSA)によるJIS原案の校正・調整を経て、27年2月にも文科省が日本産業標準調査会(JISC)に審議を依頼する。JISCは改正原案を審査し、27年11月に文科省に対して審議結果を答申。27年12月末までに改正JISを公示し、適用を始める予定。
また、文科省は報告書を基に、木造校舎の計画・設計に関する「技術的資料」を作成する。JISによる設計のための補足資料となる。JISを使った木造校舎の建築計画、構造設計の例や、各構造要素の許容耐力などの内容や留意事項などを示す。改正JISの公示と同時期に技術的資料を策定する。