そこが聞きたい・大成ロテック取締役兼執行役員製品事業本部長産廃担当 宮本 榮二氏 | 建設通信新聞Digital

10月7日 火曜日

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そこが聞きたい・大成ロテック取締役兼執行役員製品事業本部長産廃担当 宮本 榮二氏

【製品事業本部の方針は?/環境問題ビジネスチャンスに】

 大成ロテックの宮本榮二取締役兼執行役員製品事業本部長産廃担当は、本部運営に当たり、「現場主義を念頭に置き、現地に足を運んで声掛け・声返しをすることを心掛けている」と話す。全国の拠点、工場で話を聞いて地域の特性に合った戦略を立てることで、「迅速な問題解決や実践的な改善は成長につながり、本質的な課題などに気付ける」という。「職場の雰囲気を明るくしたい」とも。「社員が安心して働ける環境を構築してチームのモチベーションを上げ、業績を向上させる」と意気込む宮本氏に、製品事業本部の取り組み方針を聞いた。 合材製造量はピーク時に比べて半分以下という厳しい状況に置かれた道路舗装業界だが、「生産性の向上が企業全体の利益にもつながる」との認識の下、工場の製造ラインをロボット化するほか、DX(デジタルトランスフォーメーション)技術やAI(人工知能)の活用などによる自動化・効率化を推進する。がれき類に混入した不純物を自動で除去する「廃棄物選別ロボットR-PLUS」を東京青海合材工場に導入し、産業廃棄物処理の高度化を図っている。
 多くのCO2を排出する合材工場だが、環境問題への対応がビジネスチャンスになると見据え、「CO2低減製品を提供することで選ばれる企業に成長していく」と話す。
 新エネルギーの採用、中温化、副産物の再生資源化など脱炭素のための投資を進めている。燃料をカーボンオフセットLPガスに転換している札幌中央アスコン、ガス化などによりアスファルト合材製造時のカーボンニュートラル化を推進する美ら島アスコンの二つの環境配慮型の合材工場をモデルとし、「設備の更新などの際には、燃料変換やガス化、設備の効率化などに継続して取り組む」考えだ。
 「大きな課題の一つ」と警鐘を鳴らすのは、産業廃棄物の処理だ。「廃棄されている戻りコンの比率は、全国が1%程度なのに対して東京都は3%。こうした特異な状況下では、リサイクル施設の設置が必須だ」と考え、循環型社会の発展に貢献するため、城南島リサイクルセンターを運営している。「都内では再開発などに伴う解体が多く、産業廃棄物の循環がポイントになる。他方、再利用先である再生路盤材の需要と供給のバランスが悪い」とも指摘し、「いかに遠くの受け入れ先まで運搬するか、その解決策も検討しなければいけない」と強調する。
 担い手確保や人材教育により事業や技術を継承していく。「企業の成長と発展に貢献し、社会からの信頼を確固たるものにするためには社員のエンゲージメントの向上、キャリアパスの構築が重要」との認識を示す。社員にキャリアアップするモデルケースを提示するため、資格の取得や社内研修を通じた能力開発の機会を提供していく。
 コンプライアンスを全ての事業活動の基本とする文化を定着させ、「品質と安全面で社会から信頼を得る」とし、顧客から選ばれる企業であり続ける。

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 (みやもと・えいじ)1982年3月佐賀県立鳥栖工業高校卒後、同年4月大成道路(現大成ロテック)入社。2025年4月執行役員製品事業部長などを経て、同年6月から現職。47都道府県での業務経験を持つが、仙台合材工場長を務めた際の東日本大震災への対応が思い出深い。地域のためという一心で、「電気も水も通らないプラントに『営業中』の紙を貼り、震災翌日から工場を開けた。7時前には資材を求める建設業者が列をなしていた」と振り返る。福岡県出身。63年9月10日生まれ。62歳。